もうここ三ヶ月くらい無気力感が続いている。
心の支え 失った、と検索したら、恋人と別れたような話がたくさん出てきた。
いわく、我慢せずに悲しみを我慢せずに吐き出すことが大事だと書いてあった。
ああまた同じことを繰り返したのかとぼんやり思い返していた。
それこそ恋人に振られたショックを引きずっていた時。
理想に焦がれて失墜した次に焦がれたものはまた別の理想だった。
私がほしかったけど手に入れられないものを彼女はあつらえたように備えていて、
私はその予定調和にさえ思える物語に抵抗したけれども無駄だった。
このまま緩慢に死ぬつもりだったのに抵抗するたび捻じ伏せられた。
今もこうやって言葉にしてもいいのだろうか。
あなたが好きだ。
初めて目が合った時から好きだったし、
背景を知ってからは恋に落ちたし、
時間を重ねただけそれは深くなった。
私が自分よりも彼女のことを深く以上、死ぬことは許されなかった。
それからはずっと走ってきた気がする。
手当たり次第に今を過ごす幸せを噛みしめた。
彼女は私が生きてきて、たぶん一番心にフィットしたものだった。
同時にやぶん初めて、自分で選んで傍にいようと心から思えたものだった。
そのあとどんな代価も支払うという約束。
そんな気持ちで始めた恋がうまくいくはずもなくて私はだめになったのだけど。
そしてそんなダメになった私の前に現れた彼女は余り物を押し付けられたように思えた。
せめてそう見えないように、せめて頑張ったけれども。
神様がいなくなった私ができる約束なんてこの身にはもうなかったから、
鎖の代わりにリボンをかけた。
ちゃんと時間は一周した。
それとは別に、私は彼女を通じて生まれた他の人との対話が嬉しかった。
浮かれる気持ちを悟られないように1人ではしゃいだ。
ずっと話してみたかった人や今まで知り合えなかっただろう人がたくさんいたし、
そうやってちょっと元気になったからって調子に乗ってしまったのだ。
自分がひとつも持てない、きらきらしたものをたくさん持っている人に私は心惹かれた。
ただどうしようもなくその時の自分は体力的にも精神的にも参っていた。
その人は聡明なぶん、自分の見せ方を熟知しすぎていた。
私はだんだんと受け止めきれなくなり、しかしそれを向こう側に伝えるための場所は
あまりにも繊細で心許なかった。
私はそのしんどさを内に溜め込むようになり、過去の失敗を思い出しては身重になっていった。
だからって突き放していいってわけじゃない。
ここには書かない部分で気持ち悪い、怖い思いをしたからってやり方は選べたと思う。
そういわれたら口をつぐむしかないので今まで黙っていた。
他にも私が悪いところはある。
私からすれば本当に許せないことだったけれども、
私がそういったことをしただろう瞬間もあった。
私は執着的に向けられる愛情から漏れ出す自己愛のにおいが鼻について耐えられなかったけれども、
そして私は彼女たちに縋るだけ縋っておいて、何も還元できていないのだ。
私は自分の呪いを愛の重さに見えるトリックを使ったつもりでいたけれども、
本質的には何も変わっていなかった。
そうやって時間を稼いでいる間に何かできたらよかったのだけれども、
もう何をする気力も残っていない。
そこまで思い出してしまったらもう駄目だった。
他人の愛情をそうやって見てしまう自分の感性もすべて、嫌になった。
私がこうやって呪いにおぼれている間にもかの人は前へ進む。
だから私が去った方が美しいのだ。
周囲と上手くやって広く愛される聡明な人が残った方がいい。
何よりも彼女たちに還元する度量が広く深く誠実な人がいた方があちらにとっても幸せだ。
どうぞお幸せに。もう今更謝ることも何もないけどごめんね。
彼女の顔を見れなくなった私は今もどうしていいのかわからないけれども、
それなりにうまくやるだろう。
そう言えたら苦労はしない。
特定した人はどうか黙っといてね。