はてなキーワード: 止マレ!とは
金曜日、久しぶりにTVを付けたらテレ玉で涼宮ハルヒの憂鬱が放送されてた。エンドレスエイト、それもみんなが夏休みをループしているのに気づく回でこれぞハルヒ!と言えるような回だった。
自分の中でオタクという人格形成を手伝った直接的な作品であるアニメでもあるので、やはり見るべきだろうと視聴していたが、なにかしっくり来なかった。
画質が良すぎた。
自分がハルヒに初めて触れたのは中学生の夏休み、コンビニが町に一軒しか無いような東北のクソ田舎で暮らしている自分がほぼ初めて見た深夜アニメがハルヒだった。クソ田舎は無論深夜アニメなんかは放映されているわけはない。父親のお下がりでもらった、XPも動かすのがやっとのようなノートPC。スクエア型の草原からまだリッチデザインだったchromeを立ち上げて、隣町のTSUTAYAで購入した雑誌に乗っていたURLを数分かけて手打ちして入った動画配信サイト。そこでハルヒを見た。
画質は480pのガビガビ、画面の下には中国語かフランス語の怪しげな字幕、イヤホンから流れてくる麗かな平野綾と面倒くさそうな中村悠一の声。
周りの奴らは遊び回っている一方で、部活から帰ってはすぐにPCにかじりつき、穴が空くまでアニメを見た。あの画質、あのフォーマットの動画。
セリフを諳んじるほどまで見たハルヒやけいおん。自分の中のハルヒは480pのハルヒだった。
何気なく見たハルヒは綺麗だった。1080pで写っていた、字幕も何も無かったし途中で広告も挟まれなかった。泣きながら止マレ!を口ずさみ最後まできちんと見た。
あのプールがあんなにもきれいだとは知らなかった。ハルヒが年下になっていた。
10年で自分は社会人になった。primeやdアニメでハルヒをいつでも合法的に見ることができるようになった。
しかしあの10年前、480pのハルヒを見た自分のときめきは返ってこない。鳥肌を立たせながら谷川流を調べた自分の感情は返ってこない。
そんなことを考えていたら寝られなくなった。
ニコマス界隈では放送後1時間以内に動画が投稿されていたが、まぁ、それはそれとして。
もうすでにどこかで誰かが言ってるんだろうけど(たぶん2chとかにはそういうこと書いてる人がいるんだろうけど)これ、「手書きMAD」辺りの再現動画系を狙っているように思える。
新EDの一見してわかる特徴は絵が「動かない」こと。旧EDはクオリティの高いダンスの動画が特徴で、多数の「踊ってみた」動画を誘発したわけだけれども、今回のは実に絵が「動かない」。
動かない(動画がない)のでトレースを基本とする「手書きMAD」を作るにあたって描く枚数が少なくてすむし、出来上がる作品は再現度が高いものに見えるはずだ。(原画・動画的な意味での動画部分でのクオリティ低下が避けられる)
絵がかける人とAfterEffect使える人がいれば相当楽にそれっぽいものが作れる。MAD動画作成の敷居を下げる狙いがあったのだろう。
とはいえ、それでもやはり「手書きMAD」を作れる人はそれなりに限られるだろうし、「手書きMAD」だけでは、誰もが気軽に「踊ってみた」動画を投稿したときのような盛り上がりは期待できなさそうだ。
だから、狙いがあるとすれば、「手書きMAD」以外の方法で再現する動画も視野にはいっているんだと思う。
実写で再現する場合でも「踊ってみた」とは違う楽しみがあると思う。踊りを覚えなくてもいいし。ただ、同じ踊りのできる仲間的な一体感は損なわれるかもしれない。
フィギュアやぬいぐるみを使って再現する場合でも、あれくらいの枚数でいいならやりやすい。figma好きがやるに違いない。
クオリティを左右するのはエフェクトのかけ方かな。PhotoShop使いの腕が試されるんだろうか。
新EDは枚数こそ少ないけど、動かない絵で動きを表現するために、ピントをはずしたりブレを演出したりとそれなりに手は込んでるし。
個人的には新EDにはKineticTypographyやMovingTypographyと呼ばれる手法がふんだんに使われるんじゃないかと予想していたんだが、大外れだった。
「止マレ!」って出てくるところはそれっぽかったけど、それだけ。キャラ名はただ左右に動いているだけだし。何れにしてもKineticTypography的な面白さにはかける。