消費者物価の3%台の上昇は大半が輸入物価の上昇が要因で、賃金上昇を伴う安定的・持続的な2%の物価目標は「来年度も達成されない」と説明。今金利を引き上げ、「経済の回復を遅らせて賃金を引き上げる余地を減らすことは好ましくない」とし、イールドカーブコントロール(長短金利操作、YCC)政策を軸とする金融緩和の継続が賃金と物価が共に上昇する好循環を促すとの考えを示した。
原材料高の価格転嫁が進む中、10月の消費者物価(生鮮食品を除くコアCPI)は前年比3.6%上昇と9月の3.0%上昇から伸びが加速し、1982年2月(3.6%上昇)以来の高水準となった。
総裁は足元の消費者物価が「かなりの上昇になっているのは事実」とし、3%台への上昇で「マインドの悪化や実質所得の下押しを通じて家計に影響を及ぼしていることは十分に認識している」と語った。その上で「名目賃金がしっかり上がってくれないと、安定的に2%の物価目標を達成することは困難」と賃上げの重要性を改めて強調した。
現在の賃金の伸びは最近の物価上昇に比べて小幅にとどまっているとしながらも、労働市場の引き締まりに伴って「賃上げ率が高まっていく環境は整いつつある」と指摘。現在の非正規労働者を中心とした賃金の上昇が、「中小企業の正規労働者の賃金上昇まで波及するかを十分注視したい」と述べた。
日銀による大規模な国債買い入れは金融政策の一環であり、「財政ファイナンスではない」と繰り返した。国債に対する信認が無くなれば現在の金融緩和の効果も失われるとし、政府が財政の持続可能性を強化していくことの重要性を主張。デフレ脱却に向けて政府と日銀の役割分担を定めた共同声明は「現時点で見直しが必要とは考えてない」と語った。
https://www.bloomberg.co.jp/news/articles/2022-11-18/RLILNVT1UM0W01