HUNTER 面白くない増田に触発されて、キーボードを引き出した。
青春時代の長きを通して少なくない影響を、わたしの人生に与えた、かの名作。
今こそ、恩を返すときだ。そう息巻いて反論をしたためようとしたのだけど。
すでに三時間が経っている。HUNTER×HUNTER だけじゃない、感動したアニメ、けものフレンズとか、スレイヤーズとか、小説の三体とか、あらゆる芸術作品を思い出して、黙考に沈んだのに。
どの作品についても楽しかった気持ちは思い出せる。オープニングを聞き返すたびに、あのころの胸の高鳴りが戻ってくる。誰に腐されようと、同調圧力だなどと言われようと幸せだった思い出は消せない。
しかしそれでも。誰かに、なぜ面白いのかを解説してみようとすると、どんな言葉も出てこないよ。
わたしは、くだんの増田を努めて注意深く読んだので、彼の論説も、ほとんど「なぜ面白くないか」を説明していないのに気づいている。だらだらとモノローグが続いたから何なの? カタルシスの説明の必要性には詳しく言及するのに、作品の評価は、冗長すぎる・キャラが多すぎる、で断じるのみ。ゴミ、最悪だろ、と言うけれど、同意を求められても、最悪さの根拠は何ひとつ提示されてないでしょうが。
そうは言っても、なぜ面白くないかを言えてない、と文句をつけたところで、わたしが面白さを説明したことにはならない。
草葉の陰からルフィがひょっこり顔を出し、お決まりのセリフを言うだろう。何が嫌いかじゃない、何が好きかで自分を語れよ(※)。長い視聴歴の間で、エンターテイメントは心安らぐ時間を提供してくれたけれど、わたしは意味レベルでは何ら学ばなかったのか。何が楽しいのか。どう重要なのか。どんな風な意味を持っているか。語る言葉は何もなくて。心のヒダヒダにはごく個人的で漠然とした印象しか刻まれていなかった。空しさが募る。