『タコピーの原罪』が話題になってて改めて思ったのは、漫画(というか娯楽全般)が内包する“面白さの幅の広さ”だよね。
あれって、まあ読んでて控えめにいって“愉快ではない”でしょ。
健康面(精神衛生上)では食べない方がいいけど、食べたくなる味みたいな。
まあ、この“不愉快さ”ってのも色々な性質があるけれども、それだって究極的にいえば選り好みの範疇だよね(少なくともフィクションという枠組みにおいては)。
私もこのテの作品はそれなりに読むので、今回はその中でも気になってる作品のざっくりした感想。
ただ、本作が上手いなあと思うのは、続きが気になるように主人公の目的を曖昧にしていること。
主人公は教師なんだけど、学生時代にいじめられた経験があり、その傷は今でも癒えていない。
そんななか、過去に主人公をいじめていた首謀者の娘、彼女は主人公の働く学校に通っている。
しかも、その娘はいじめられるって状況になるんだけれども、その中で主人公がどう動くかが読めない。
復讐したいだけなら、その娘の父親(つまり主人公をいじめていた首謀者)は不倫しているから、そのことを暴けばいいだけ。
けれども主人公はそれを知っていながら泳がせている感じで、だから目的はもっと“別のところ”にあるんだろうなあ。
主要人物全員が何か“欠陥”を抱えてて、その描き方が一筋縄じゃないのが面白いよね。
そこまで難しくないように見える問題が、厄介な人物達が絡み合うとここまで複雑に、面倒くさくなるのかっていう。
各々が腹に一物かかえながら交錯する言動、やり取りの「いや~な感じ」。
この「いや~な感じ」が絶妙なんだよね。
ただ、まあ、ちょっと堂々巡りが過ぎて飽きてきた面はあるので、そろそろ完結したほうが物語としては綺麗だなとは思ってる。
この感覚はなんというか、刺激の強いものや癖の強いを食べる時に似てる。