俺たちはドッペルの真意を読み取り、その葛藤を理解しなければならない。
だけど今の俺たちでは話にならない。
そもそも現時点で分かるようなことなら、こんな事態には陥っていないだろう。
そのために、まずは情報収集だ。
「アテはあるの?」
「少なくとも道端には転がってないだろうな」
あいつは引っ込み思案だ。
大して面識のない相手から情報を得ても、それがドッペルのことなのか判断できない。
となると、信頼できる情報ソースは限られてくる。
「カバンの中、机の中!」
「どうやって調べるんだよ。もしバレたら、それこそ絶交ものだぞ」
「まあ、身近な物を調べたり、身内に聞くのが近道なのは確かだろうね」
「やっぱり、子供のことを知ってるのは親でしょ」
「いや、身近な相手だからこそ秘密にしていることだってあると思うよ」
「どちらにしろ親に聞くのはナシだ。自分の親が『あの子はこんな感じなんです~』とか友達に話してるの想像してみろよ」
「……キツいわね」
けれど、それはドッペルの家に土足で入るような方法ばかりだ。
まあ国によっては家の中でも靴を履いたままらしいけれど、問題はそういうことじゃあない。
俺たちが今やってるのは、ドッペルのことを理解し、尊重するためのプロセス。
それで人様の家に足跡をつけておいて、「お前のことを尊重している」なんて嘘つきのやることだろ。
郷に入れば郷に従え、親しき仲にも礼儀ありってことだよ。
だから細心の注意を払い、俺たちは最低限のピースだけで何の絵かを当てなければならない。
そこで挙がってきたのが俺の兄貴だった。
「思ったんだけど、私がマスダのお兄さんとドッペルのことを聞いたのが始まりでしょ」
「いや、ことの発端はそうかもしれないけど、直接の原因はそこじゃないよ」
「まさか、タオナケ。兄貴とドッペルをどうこうすれば万事解決すると思ってるのか? 少女漫画じゃねえんだから」
「え~? タオナケの読んでる漫画って、そんな感じなんだ……。つくづく流行ってのは読めないね」
「あんたらの少女漫画に対する偏見は保留にしといてあげる。私が言いたいのは、お兄さんに聞けば間接的なヒントくらいは得られるんじゃないかってこと」
「ああ、そういうことか……」
だけど兄貴の知ってることも俺たちと似たり寄ったりだと思うんだよなあ。
とはいえ、他に聞けそうな人が思いつかないのも確かだった。
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久しぶりにリアルタイムで見たわ
はいはい……昨日の靴下探して散歩しますよ……恋は盲目……リピートアフターミー……恋は盲目……
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