スタートアップにおいて最初のデザイナーは採用が非常に難しいだけでなく、失敗すると後々非常に長い期間、事業の成長に負債を残すことになる。
背景として、スタートアップの初期のデザイナーには、ある程度なんでもできることが求められる。UI/UXデザイン、資料作成、DTP、HTML/CSS、などなど。しかしこれら全てがハイクオリティでこなせるデザイナーは滅多にいないし、いたとしても相当待遇を頑張る必要があり、スタートアップにとっては余程創業メンバーにネームバリューやコネがないと現実的でない。
そこで現実的な落とし所として、クオリティは中途半端でも一通りのタスクをある程度一人でこなせるデザイナーを採用しようとする。
その結果どうなるか?
2人目のデザイナーが採用できなくなる。または2人目以降のデザイナーの質が下がるのである。
なぜか?
2人目以降のデザイナーにとっては1人目のデザイナーが上司、または先輩になるわけだが、誰も自分より明らかにスキルが低い人の元で働きたくなどないからである。これは特に1人目のデザイナーの年齢が高ければ高いほど問題になる。
社員数が少ないスタートアップで、同じ職種の社員は2人だけ、自分の方がスキルは上、だが相手は年上、なんて状況は人間関係のトラブルが不可避であり、絶対に関わりたくない。
結果、会社案内には応募が集まっても選考まで進まないケースが増える。
会社案内で1人目のデザイナーと会話した時点で、こういったトラブルの気配を感じ取られてしまうからである。
この問題を解決するには、セオリー通りに現場のメンバーに採用を任せるのではなく、経営メンバーが面接に直接参加する、ヘッドバンドしてくるなどの離れ業が必要になってくる。
また入社後のデザイナー間での業務範囲の切り分けなどにも、面接の時点で言及しておかなければ、応募者は次のステップに進みたいと思わないだろう。
1番の問題はこの課題がなかなか顕在化しないことだ。経営メンバーが自社がデザイナーに敬遠されている理由気付くことが出来ず、採用に失敗し続けることになるのである。