が憎い
割と長いこと腐女子という隠したい肩書きを持って生きていて、色んな人物と出会った。その中でも特に心を苛立たせるのが「みんなに好かれている人間」である。
率直に言ってただの嫉妬だというのは百も承知。醜く爛れたこの心には『好かれたい自分』と『孤高の存在になりたい自分』がいるのだが、どちらも元を辿れば【注目されたい】という欲求に帰結する。
そんな私が一時期少しばかり注目されたのは、毎日休まずにSSを量産していた時だった。その頃ハマったジャンルの規模の大きさもだが、書き続けることによって生まれるアドレナリンが私を突き動かし、とにかくこの気持ちをアウトプットしたいととにかく書いた。
鍵垢で嗜好もほぼ近い人間関係で構築されたTLには、私が作品をあげる度に「また書いてくれた!」という言葉が連なって、画面越しで悦に浸っていたのだ。
しかし、やはり限界はある。クオリティが下がったな…と自分の作品を見返していた時に、滅多と書かないとあるフォロワー(A子)が作品を上げてきた。
当然注目はそちらに向かい、文章構成でも内容でも、A子には勝てなかった。私が必死の思いで書いて得てきたものは、根こそぎ奪われた。
そこで私は書くことをやめ、TLに常駐しても呟くことをやめ、次第に仕事へ打ち込むことになる。
それどころか、私がいない方がみんな楽しそうに見える
そう思った瞬間、何もかもが憎くなった
とはいえ、規模は大きくともコミュニティ自体にばらつきのあるジャンルなので分かりやすい晒しは足が着いてしまうので、まずは情報収集に徹した。
人畜無害でなんでも肯定的に受け入れる人間を演じることに腐心し時にはA子とも関わった。A子はとてもいい人間だった。だが私の居場所を奪った人間だ、許さない、許せない。
やがてコミュニティの内部でも嗜好の違いから喧嘩が始まり、私はほくそ笑みながらTLを眺め、人間は醜い部分を誰でも持っていることに安堵した。
だが、A子は誰からも避難されることなく、掲示板でも晒しなどなかった。
紆余曲折して、私は今でもそのジャンルにいる。A子との付き合いもある。
屈折した私の心はA子への憎悪を今でも捨てきれていないが、腐女子という本性を社会性という仮面で覆った私は良い人をいつまでも演じている。