怪談を書きたいわけではなくて、水子にまつわる怪談の感想を書いただけの文章である
インターネットで水子の霊について検索すると「赤子の霊はこの世に執着心がないのですぐに成仏する」「親を憎んだり恨んだりすることはなくて死後は親やきょうだいの幸せを願っている」ととてもおだやかな存在である情報が載っている
私もなるほどなーそうなのか。水子の霊はおだやかなんだなすぐに転生するんだと思っていた
そこには上記の水子の存在とはまったく違う恐ろしい事実があった
その日の夜、像を倒した男性の枕元に現れた赤ん坊の霊は男性を金縛りにかけて眼球の自由すら奪い(金縛りって目や首は動かせるのがド定番なのに)、すばやいハイハイで男性の周りをまわって男性の顔の前でおぎゃあおぎゃあと泣いた
ハイハイをマスターした赤ちゃんの動きは意外とすばやい。赤ちゃんの移動するスピードの早さが不気味な雰囲気を醸し出しゾッとした
その日のうちに男性が依頼した霊能力者がきて、お祓いをした。霊能力者は「水子の霊一体のお祓いは簡単だ」と30分程度の施術で終わらせた
しかし、水子の霊は全然祓えておらず、男性が陸橋の階段を登りきったところで後ろから男性の腕を引っ張って頭からいきおいよく地面に落とした。男性を殺すつもりで狙ってやったっぽい
地面に寝そべり、痛みに苦しむ男性の前にまた赤ん坊が現れておぎゃあおぎゃあと泣きながら男性の顔の上に登り出す
赤ちゃんて寝ている大人の頭の上に乗ってくるよね。わかる。自分も今赤子の子育てをしているからリアルに泣きながら頭に乗ってくる赤ちゃんの姿を想像して恐怖した。
お祓いした霊能力者の師匠によると、男性に憑りついた赤子の霊は一体ではなく、倒した像の周りにあった数百体の水子像に宿っていた数百の水子の霊も男性に憑いていて、
水子の霊は子供や大人の霊よりもお祓いの難易度が高く、祓ったと思ってもまたしつこく憑いてくる
水子の霊は憑いた人を親だと思っていて、とにかく愛してほしいと思っているからなかなか離れないらしい
言われてみれば水子の霊がお経の意味を理解してるとは思えないし、お祓いをしてもその意味をなかなか理解できないだろうし、「なんかよくわからんけど霊能力者がギャーギャーうるさくてウザいから一端離れとこ…」ってなってまた寂しくなったら「かまってよおおおおお」って、憑りついた人間のところに戻っていくんだろう。
男性は脊髄を損傷して下半身マヒになり、移動するときは匍匐前進。まさに赤ちゃんがハイハイするときのようになってしまった。
私はこの怪談を知ったときになるほどなぁと色々と考えさせられた。
今までも赤ちゃんの霊の怪談を聞いてきたけども、赤ちゃんの霊は悪霊と違ってそこまで怖い存在ではないと思っていたよ。でも、罰当たりなことをしな人間に赤ちゃんの霊が憑いたときは恐ろしいことになるんだな。
男性のように水子像を倒したりしなければ怖いめに会うことはないだろうけど、またこの世とあの世の新しいルールというか仕組みがわかって、とても興味深い話だった。赤ちゃんを育てていると赤ちゃんはか弱い存在と思いきやその生命力が凄まじさ感じるときがある。赤ちゃんは意外とパワーの塊である。だから、水子の霊もものすごいパワーを秘めているのだと思う。けっして弱い存在ではない。