2019-08-27

知り合い以外は人間じゃない

コミュ力が高い、とよく言われる。確かに他人と話すのは苦じゃないし、空気を読むのも得意だ。敬遠されがちな気難しい人、扱いにくい人も自分には心を開いてくれる……なんてことも結構ある。

職業は一応エンジニアなんだけど、技術力は中の中。いや中の下だと思う。でも給料は、同世代の中ではかなりもらっている方だ。社内ではコードのわかる企画職またはPMとして重宝されている。

自分のいいところは、他人の良いところを素直に尊敬できることだと思う。パワハラっぽい言動をする上司ビジネス的な勘の良さ、面倒見の良さ。内気で会議でひとことも喋れないエンジニアのつくる気の利いた資料。そういうのに気づいたら、恥ずかしがらずに即褒める。狙ってやってたわけじゃないけど、結局みんな、自分を認めてくれる人が好きだ。私はふんわりみんなの味方で、みんなもふんわりわたしの味方だ。

愛想とコミュ力だけで世渡りしてきた人間なので、誰とでも雑談するし、飲み会はあまり行かないけれど、ランチは誰とでもサシで行ける。会話が途切れて気まずくなることはほとんどない。でも、私の愛想は知り合い限定なのだ

街で知らない人に声をかけられると、ほぼ100%無視する。立ち止まっているところに声をかけられる(道を聞かれるなど)ても目も見ない。知ってても知らないって言う。店員に話しかけられるのも嫌い。美容院の予約サイトでは毎回「静かに過ごしたい」にチェックを入れて、Kindleを持参する。電車妊婦にも老人にも席を譲ろうとは思わない。知り合いの子供が騒いでいれば「元気だなぁ」と心から微笑ましく思うのに、他人の子供に対しては無。目の前で転んでも跨いで帰る。ごく稀にいる、電車飛行機雑談ふっかけてくる高齢者にも「はぁ」しか言わない。

知り合いや同僚にはどんなに忙しい時に話しかけられても120%の対応をするのに、他人だとこんなもん。知り合いに会わないなら、表参道だろうが六本木だろうがすっぴんによれよれのジャージで行く。知り合いに会うなら近所のコンビニでもナチュラルメイクとそれなりの服装で行く。

以前は、私の愛想は毎日知り合いで売り切れているんだと思っていた。でも毎日から他人には冷たいわけで、今は私にとっての「人間」は知り合いだけなのではないか?と思っている。

昨日も同僚の家庭の愚痴に2時間付き合い、共感し、励まし慰めた。特に打算などはない。その帰り道、目の前で転んだ女の子ポーチ電車の中で真っ逆さまになった。口紅が私の足元に転がっていたのには気づいていたが、スマホから目を離そうとは思わなかった。ただ「転がっているな」と思っていた。

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