ツイッターで軽くバズっている動画が流れてきました。それについていろいろと意見がリプライでついていたのですがどうも腑に落ちなませんでした。
おそらく撮影主は自動二輪で、前方にはかなり車間を開けて(200mほど?)自動車が走っています。見通しのいい二車線道路で、対向車はいません。少し走ると、自動車が左に寄って減速します。このとき、おそらく撮影主は「先に行かせてくれるのかな?」と思ってそのままのスピードで右側に出ます。すると突然自動車が右折し始め、危うく事故になりかけた。という内容です。
予想通り、自動車のドライバーに批判が集中していましたが、私は撮影主にも非があると思います。事故を起こしかねないきっかけを作ったのは疑いようもなく自動車のドライバーですが、事故に発展する確率を上げたのは撮影主の方です。それは「譲ってくれているのだろう」という「だろう運転」に原因があります。私だったらこの場合どうするかと問われれば、「減速して安全に追い越しが可能か、状況を見極めてから追い越す」と答えるでしょう。そう答える理由は「ハザードやウィンカーなどの合図を出していない」ことにあります。前方の見通しがとてもいい状況なので、「後方のドライバーには死角になっている障害物などが地面に落ちていて、それを余裕をもって避けようとしているのかもしれない」という想定もできますし、「居眠りなどで運転操作がおぼつかない」ということも考えられます。いずれにせよ、「万が一とはいえ、追い越しをかけようとしたらこちらに危険が及ぶかもしれない」と思考したほうが自分の身を守ることを最優先に考えるのであれば安全であることは明白です。教習所で「だろう運転」ではなく「かもの運転」を心がけるようにと教える場所もあるようですが、私はここに本質があると思っています。この撮影主や、自動車のドライバーを批判している人たちが似たような状況を99回経験していて、99回とも安全に追い越しができていたとしても、100回目にはこういったことが起こる「かも」しれません。進路変更を伴う追い越しは基本的には危険と隣合わせですから、その過程で事故を起こしてしまっても仕方がない、そのリスクを犯せる程度には安全だ、と言い切れる時にしかしないのが得策だというのが私の個人的な信条です。
当然、悪いのは自動車のドライバーです、が、残念ながら過失も含めるとこういったドライバーは数多くいるように感じます。ウィンカーを出さない、突然進路を変更する、変な場所で突然止まる、標識・信号の無視などなど... そういう人々の中には日常的に交通ルールを破っている人もいれば、その時たまたま、操作や認識を誤ってしまったという人もいます。人間は人間です、たとえどんなに調子がよかったとしても間違いは犯してしまうものです。誰かがミスをしてしまっても、自分が気をつければ回避できることはたくさんあります。私自身そうやって事故を回避できたことも、危うく事故を起こしかけた場面で周囲のドライバーに救われたこともあります。他人がどうやって運転するかは変えられませんが、自分がどうやって運転するかは変えることができます。撮影主に限らず、この件で自動車のドライバーを責めるのは自由ですが、「自分の判断一つで事故は回避できることがある」という事実を心の片隅に置いておいて欲しい限りです。