2018-11-17

商標として」利用しないと商標侵害にはならない

他人登録商標であっても、登録または類似商品役務)で「商標として」利用しないと、商標侵害にはならない。

商品などで、形式的に見せただけ書いただけ表示しただけという利用なら、権利者に対して無許可で行える。

しかしそれが昔の商標法では分かりにくかった為、誤解をする人がいた。そこで、商標法を改正上記を明文化すべきではないかという意見があった。

商標」の定義への識別性の追加等について

平成22年3月

特許庁

https://www.jpo.go.jp/shiryou/toushin/shingikai/pdf/t_mark21/02teigi.pdf

(2)また、商標法第37条等が適用される侵害の場面において、識別性が侵害の構

要件として求められていないため、商標権者以外の第三者使用する「商標

識別性を発揮する態様使用されていないにもかかわらず、商標権者から訴え

を提起されることがある旨の指摘がある。この点については、判例は、自他商品

識別機能ないし出所表示機能を発揮する態様使用しない場合商標侵害

構成しないとの解釈商標使用論2)で対処しているところ、これを何らか

の形で立法的に解決明確化)すべきとの指摘がある。


案の一つとして次のものが挙がっていた。この案は実際に行われた改正内容に近いと感じる。

(3)第26条第1項に「客観的識別性を発揮しない態様での使用」を商標権の効力

が及ばない事由として追加

商標権の効力が及ばない範囲を定める規定(第26条)に、「客観的識別性を発

揮しない態様での使用」を追加する。

これにより、自他商品識別機能ないし出所表示機能を発揮しない態様での使用

は、商標侵害にならないことが条文上明確となる。


そして平成26年の改正で第二十六条一項六号として追加された。

それが下記である

↓   ↓   ↓   ↓   ↓   ↓

第二十六条 商標権の効力は、次に掲げる商標(他の商標の一部となつているものを含む。)には、及ばない。

(省略)

六 前各号に掲げるもののほか、需要者が何人かの業務に係る商品又は役務であることを認識することができる態様により使用されていない商標

需要者が何人かの業務に係る商品又は役務であることを認識することができる態様により使用されていない商標」には商標権の効力が及ばない

まり商標形式的に表示しただけの話なら無断でも商標権の侵害にはなりませんよ、自由利用ですよ、という事である

以下は専門家による解説

平成26年特許法等の一部を改正する法律

おける商標法の改正概要

特許庁審査業務商標 雑貨繊維審査審査官  鹿児島 直人

http://www.tokugikon.jp/gikonshi/276/276tokusyu03.pdf

⑥その他(商標使用論の明文化

商標は、自他商品役務識別のために使用されるもの

あるため、自他商品役務識別機能を発揮する態様での商

標の使用は、いわゆる「商標使用」と称されています

この「商標使用」でない商標使用については、形式的

商標使用されていたとしても商標侵害構成しない

とする裁判例がこれまで数多く蓄積されていますが3)、こ

うした裁判例は商標法上の特定規定根拠とするもの

はありませんでした。

そこで、新しい商標保護の導入を踏まえ、こうした考

え方について商標法上に明確に位置付けるべく、「需要

が何人かの業務に係る商品又は役務であることを認識する

ことができる態様により使用されていない商標」に対して

商標権の効力が及ばない旨が明確にされました(改正

商標法第 26条第 1項第 6号)。

商標使用商標法26条1項6号) 法改正後、初の判例知財高裁平成26年(ネ)10098)

http://ipfbiz.com/archives/hanrei10098.html

【役立ち知識商標商標使用態様

http://www.kassaipat.jp/new/data/0072.htm

以上

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