今からもう数年前の話になる。
推しはそれぞれ違うけどそれぞれの魅力だったり、アイドルあるあるやファンあるあるを語り合うのが楽しかった。
キャー!推し君!こっち見てー!!
という感じではなく
というタイプだった。
なので派手な行為をする厄介な同担はともかく、同担拒否などは一切せずむしろSNSなどで積極的に繋がって現場で会うようなことを互いによくしていた。
しかしある日
思わぬところから私と友達のドストライクを突く新たなニュー推し君が現れた。
全然推せるけど、本命もいるし〜でもすごいカッコいい〜推し変かも〜ww
くらいのノリだった。
もらってしまったのだ。
ニュー推し君がいた位置とか、私たちがいた位置とか、タイミングとか、色んなものが奇跡的に合わさって推し君が使用したものをステージから投げてくれたのだ。
私も友達も、どういうわけか今まで塩対応気味な子しか推してこなかった。
と物足りない気持ちを盲目な推しへの愛で誤魔化してきてはいた。
狙い撃ちファンサ。
私たちは大興奮だった。
私たちの「推しカテゴリー」にニュー推し君の名前が貼り出された瞬間だった。
友達は変わった。
前はそんなことしなかったのに、周りに同担がいないかキョロキョロと確認し、推し色の物を付けてる人を警戒。同じ色のペンライトを持ってる人を近くに見つけると残念そうな顔をしていた。
近くを推しが通ってもこちらを見ないとこの世の終わりかと思うくらいに落ち込み、他の人にファンサをしてる推し君を見て泣きそうになり、それでも推し君に関するグッズは買い込む。
いや気持ちはわかる。
私もあれから周りに同担いなければラッキーなのになとか思うようになったし、ファンサをもらえないと「ちょっと推し君!なんで?!」とか不満を覚えるようにもなってしまっていた。
私も変わっていた。
それでも、
同担とつるみ穏やかに推し活をしていた友人の変わった姿を見て、どこか得体の知れない不安を覚えた。
だけど友人をここまで変えた推し君を一周回って尊敬したりもした。
推しが一緒になった後も、色んなライブに行ったりもしていたが、曲がりなりにも同担である私は友人の目にどう映っていたのだろう。