いい子に育ってほしい、優しい子に育ってほしい、親として願うのは勝手だけれど子供にそれを伝えて親の願望通り育てようとするのはやめたほうがいい。
子どもの頃はそれでいいとしても、大人になって困るのはその子だから。
自分は末っ子で、上の兄弟が手のかかる奴らだったから母親からあまり構われずに育った。「小さい頃からあんたはいいこで優しくて手がかからなくて、よくお母さんを助けてくれた」って母親は今になっても言う。
けど、ほんとは違う。
当時めちゃくちゃ愛情に飢えてたよ。
「◯◯はおりこうさんだもんね」って言われ続けたから、自分を抑えてでもいいこを演じるしかなかった。それが唯一、上に二人いる自分が愛情を享受できる手段だと思ったから。
まれに上の兄弟達を見習って反抗しようもんなら、ショックに打ちのめされた顔で「あなたらしくない」って言われてさ。わたしらしいってなんだろう?お母さんはどうやったらもっと私のこと好きになってくれる?って小学生のころからよく考えたよ。
いつも笑顔で明るくて誰にでも親切で、ひょうきんで家族を冗談で笑わせて、友達も多いし勉強もできる、親にとってかわいい反抗はしても親の考え方と対立する反抗はしない。そんな空気の読めるいいこを演じてメリットあったのはせいぜい中学生までだった。
堂々と自己主張する人のほうが尊重される社会にでたら、都合のいい扱い方されて磨耗してくだけ。他人から誉められる機会は少なくなるのにも関わらず、他人の評価を軸に育ってきたために自己肯定の仕方がわからず、叱られるのに滅法弱い。自分の意見に自信がもてない。
社会に出たての頃は上司や同期の人間みんなが自己中に見えた。けど今思えば、自分の頭で考えて自分の意思をちゃんと主張してただけだった。
痛い目にあって試行錯誤してきて、やっとのことで、人への気遣いは考えつつも主張するべきところでは純粋に自分の意見を主張することを覚えた。
だから、子どもがいない自分が言うのはおかしいかもしれないけど、いま子どもを育ててる人、これから育てる予定がある人に伝えておきたい。
・その子にいい子でいること、優しくいることを求めすぎないでほしい。子どもはその加減がわからないから、自己を殺して他人を尊重することが優しさで、意見しないことがいい子なのだと勘違いしてしまうことがある。いい子でいることを誉めるんじゃく、考え方自体やそれを主張できたことについてレスポンスしてほしい。
・「あなたらしさ」を親が決めつけないでほしい。自分の意見と全く違うことを子どもが主張してもがっかりしたり「あんたは全然親に似てない」「橋の下で拾った」とか茶化さず、真っ正面から受け取ってほしい。子どもの意見を拾い上げてあんたはこういう子だよねって刷り込みはしないほうがいい。
長くなりましたが、そこんとこどうぞよろしくお願いします。