当時、女子高生であった私は、ドフスというネトゲにそこそこの労力と小遣いを注いでいた
そこそこの熱意も持っていた私は、視界をうろちょろと走り回る業者やbotに殺意を抱いていた
業者の様子をスクショで撮って公式フォームから通報したり、PvPを仕掛けて殺す事もあった
中立キャラである業者を殺してカルマ値が下がり、PvP状態が解除不可になったりと難儀な目にも遭っていた
業者が減らず、人が減っていく中、ドフスはボランティアを募集し始めた
イベントを企画するサークル等があったが、私が目を惹かれたのは「火サークル」というボランティアだった
そして火サークルの一員となり、専用のアカウントとキャラを与えられた。専用という事でちょっとワクワクした
一見すれば「サクリエール」という通常のクラスのキャラであるが、
専用であるからして、やはり通常とは違う。それは下記の通りであった
・他プレイヤーに見られないよう、常時透明化
・透明化しているから意味はないが、色・性別を変えられるポーションが与えられた
・何より、他プレイヤーを右クリックすると、「このキャラをBAN」という旨の項目がある
そんな火サークルの活動内容と言えば、各地のパトロール・そしてBAN
これでようやく、あの煩わしい業者どもが消え去る……!
その希望をこめて、私は業者を右クリックし、BANを押下したのだった
結果どうだったか?
業者は相変わらず元気に動き回っていた
すぐに消え去らない業者を見て、すぐさま公式に質問してみたが、
「IPを頻繁に変えている相手だと、上手く効かない。その内消えるからよろしく」と説明された覚えがある
ただ、目の前でBANしたというのに、相変わらずちょこまかと敵を狩り続ける業者を見て、本当に効いているのかと疑心を抱いた
それでも数週間、私は活動した
業者が特に湧く地域を中心にパトロールし、「業者いるし火サークル意味ねーじゃん」という陰口にうなずいた
だが、私以外の火サークルのメンバーは、次第にログインをする事がなくなっていった
(火サークルのギルドは通常のギルドと機能が同じ為、他メンバーの最終ログイン日が見れてしまう)
しばらくして
そんな経験があった事を、ふと思い出した