残業が禁止になった。これまで20時や21時に退社する人の方が少なく、「22時過ぎてからが残業だ」とさえ思っていた。もともと仕事が好きで、何時間でも没頭出来るタイプだったし、そういうタイプの人間が多い職場だった。23時頃に一息つきながら、そういった仲間と仕事の話で盛り上がるのが好きだった。
会社から残業禁止を言い渡され、定時退社する社員が増えた。20時にフロアに2~3人しか社員が居ない事もザラだ。入社から5年で、初めて見る光景だった。これまで「早く帰る奴はやる気が無い」と公言していた上司が、「残業する奴は仕事が出来ない奴だ!」とまで言い出した。「1日8時間で仕事を終える」事が職務優先事項の第一位となった瞬間だった。
自分自身も周囲に同調する形で積極的に定時退社を行った。これまでより1日6時間少ない労働時間。その中に仕事をどう収めるのか。何をやり、何をやらないのか。真っ先に削ったのは積極的に上げていた企画や提案書作成に割り当てる時間だった。締め切りがあるルーチンワークは削れない。それを淡々と消化するだけで手一杯だ。他部署からの依頼に快く応じる事が困難になった。初めて、「それ本当に急ぐ必要ありますか?」と言ってしまった。
社内で社員たちが雑談する姿もめっきり見なくなった。皆淡々とPCに向かってタスクを消化している。社外へのデータ持ち出しが制限されている為、PC作業は就業時間にしか行えないからだ。残業申請にもそれ相応の理由が必要になった。「書類作成」なんて理由では却下される。クライアントや下請先の都合など、外部が絡まないと認められないのだ。「どうすればもっといい仕事が出来るのか?」そんな濃い話をしていたメンバーとの会話は、朝に挨拶を交わす程度になった。
定時出社に定時退社、残業代も分単位で正確に払われる。これは素晴らしい変化だ。今年もリクルーターをやる事になったが、この話を聞けばきっと就活生の目はキラキラと輝くだろう。うちはいわゆるホワイト企業ですと胸を張って言える。応募者も増えるかも知れない。
でもそうじゃない。俺が彼らに伝えたいのそういう事じゃない。自分の力を最大限に発揮する為に努力する事や、困難な状況を仲間と乗り切った話や、企画がスマッシュヒットした時の達成感。お客さんから「次もまたあなたにお願いしたい」と言われた時の感動。そういったもっと熱のこもった話がしたいんだ。
残念ながら今の自分はそんな働き方をしちゃいない。時間を度外視してでもやり遂げたい何かを語る資格なんてない。
そういう充実感とかを求めるのなら経営者か少なくとも経営陣になれよって話なんだよ。 もともと増田の立場は、ただの作業者であって、上司に入力された雑用をこなすだけのポジショ...
骨の髄まで染み付いた社畜根性。素晴らしい!!!
残業をなくしたらどうなったかって記事、少し前にはてブにあがってたね 作業時間としては短くなったけど、トップダウンの社員に裁量のほとんどない事務作業型の仕事に変わったとか ...