今から5年ほど前、大学受験を1年半後に控えた頃、高校2年生夏、自分の人生について真剣に考えた。
その時期自分の成績はかなり悪かった。
中学受験でそこそこのレベルの中高一貫校に入り込んだこともあって、周りは受験一択で皆熱心に勉強していた。
小学校時代友達との遊びを何度も断っては半ば親に監視されながら勉強を続けていたストレスから中学時代はひたすら遊び呆けていて、その時期の積み重ねが全くない状態で高校数学や高校英語を前にして何も出来ずにいた。
手も足も出ないという状態は心に強い負荷をかける。
その上、まだ高校生ということもあり余計なプライドの高さからか、いまさら中学時代の勉強を必死になって取り返そうという気にもならないでいた。
周りがやる気を見せる中で着実に勉強から遠のいていく、その温度差が少しずつ自分を集団から引き剥がしていった。
それでも体は周囲の人間と同じ場所にあるので同じように生活をしていく。
彼らがどの大学を受けるのか、自らの将来をどうしたいのかを決める時が来て、自分も同じようにその未来を想像していった。
闇しか無かった。
勉強が出来なくなって急に周囲と離れ始めたのではなく、もっと前から周囲に溶け込めずに居た。
異物であった。
そんな自分が社会に馴染む方法は有用性を証明し続けることだけだったのに。
その頃の自分は学生の本分を全うすることも出来ず、本分から離れた学生同士でつるむ仲間も居なかった。
虚無。
何も無かった。
自分が今何者であるのか自覚する内に、自分の存在が少しずつ地面から離れていくのを感じた。
ゆっくりと宇宙の向こう側へと流れていき、虚空の中へと消えた。
何も思いつかなかった。
何を想像しても異分子である自分がそこにいる姿は薄らぼけた影にしかならない。
どう生きていけばいいのか思いつかない者に残された手段は死ぬことだけ。
そうして自分は真剣に自分の将来を考えた結果として、死ぬことを選んだ。
だから待つことにした。
そうして歩き始めた。
死ぬにふさわしいだけの惨めさを求めて人生の分岐路を何度も誤った方向に曲がり続けた。
それが愚かだったのはよく分かっている。
だけど考えて道を選べば更にドツボにハマることも知っていた。
だからそのまま進み続けた。
そして今ここにいる。
どうすればいいのだろうか。
誰かに救って欲しい。