2013-10-08

ハゲチビデブおっさんが今、

ブランドもの紙袋を肩に下げながら

鼻を啜りながら歩いていたら、それは俺である

電車で一時間もかければ着く実家

昨年の年初から約二年ぶりに帰ってきた。

月末の給料とともに落として、

再発行したクレカの届け先が実家になっていたからだ。

言わば、やむなく。

近々帰るとはメッセで言っていたものの、急に帰ってきた自分

リビングに一人いたおかんは不満を言うこともなく、ご飯はいる?と

真っ先に聞いてきた。

おかんの直近の話……ダイエット成功したサプリを俺に勧めることからまり

最近こっちに来た祖母が会いたがってたよ、いつまでもあんたを愛してるんだねという話になり、

太ったの?健康診断引っかかるよ、アルバム見る?と俺の過去話になり、

妹の勤める会社の話から俺の勤める会社心配をしだし、

帰り際に財布落としたなら困ってるんじゃない、ちょうど祖母が"置いていった"

お小遣いがあるよ、と手際よく韓国のりと湿布が入った紙袋ともに封筒を渡された。

中に十万入っていた。

ちょっと今、おかんに嘘をついたことを後悔している。

仕事はまぁまぁ、小さいプロジェクトだけど楽しくやってると空元気で答えたが、あれは嘘だ。

大きいプロジェクトぼっち鬱病を加速させて、左遷という形で

同期の上司に耐えながら、何とかやっていたんだ。

こんなに太ったのは幸せ太りかも、いい感じの人がいるんだ……と

話を振って照れ隠しのように強引に打ち切ったの、あれは嘘だ。

土日の空白を、コンビニ弁当を買い込むことで毎週解消し続けてたんだ。

それなのに、おかんは気づかなかった。

いや気づいてたのかもしれない。

あんたは、柔和な性格なんだから、太って周りに圧迫してる壁さえ無くせば、

もっと上手くいくよとなんてアドバイスをくれてたから。

俺はただ、へいへいと遅めの夕刊に目を通しながら流しただけだった。

すまん、ほんとは全部聞いていたんだ……

人とプライベートの話をするのも久しぶりだったが、

普段コミュ障と陰口を叩かれてる俺の口から

思い返せば驚くほど自然な会話が一時間くらい成り立っていた。

そしておかんから返された言葉の一つ、一つに、

こんな場だから言えるが俺への暖かい眼差しが込められていた。

誰かが、生まれてから甲斐甲斐しくどんな見返りも求めずに

好いてくれるのはおかんしかいないとコピペでいってた。

孤独のグルメに慣れさえも感じなくなった今、ようやく俺は気づいた。

実家を離れたのは父との不仲が理由で、現に今日リビング

話していたとき物音のする書斎から扉を開けて顔を合わすことすらしなかったが、

おかんは違った。そのことに気づけただけで、実家を離れて暮らし

心底良かったと思えた。

今まで育ててくれてありがとう。不肖の息子でごめんなさい。

年末、五キロもしも痩せたら帰ると約束したが、

キロ痩せて帰ります。祖母と顔を合わせて、家族サービスに尽くすから

その時は今日食べられなかったコロッケを宜しく。

記事への反応(ブックマークコメント)

ログイン ユーザー登録
ようこそ ゲスト さん