2022-10-15

歯医者が足りない

もう、地方では始まってるけど、歯医者が足りない。

当方40代地方開業歯科医師。卒後歯科大学に15年ほど。

コンビニより多いといわれている歯医者だけど、地方では足りなくなり始めている。

そもそもコンビニより多いのは都市部だけで田舎はどっこいどっこい。

コンビニと比べるなとか昔から歯医者の方が多いとかその辺はおいといて、とにかく足りなくなり始めている。

理由は以下の通り

1.国家試験での合格者がここ10年ほど2000人前後

2.国家試験の難化で+研修歯科医制度歯科医師として働き始めが高年齢化。

3.女性歯科医師の増加。

4.従業員確保が難化

5.コロナ

6.マイナカード

一つ一つ説明する。

1.国家試験での合格者がここ10年ほど2000人前後

以前は3000人ほどだった。段階的に減ってきた。人数の決定を厚労省がしていると考えると、少しずつ歯科医師を減らそうとしている思われる。

合格者は2400人の時代がしばらく続き、その後2000人になっている。

全国の市町村1700ほどだから、それぞれの自治体に毎年1強。思ったより少ない気がする。

受験者数はそれほど減っていないので、選抜試験になっている。この水準が続けば歯科医師の人数は減少する。

2.国家試験の難化で+研修歯科医制度歯学部偏差値の低下で歯科医師として働き始めが高年齢化。

前述1.の結果により、国家試験が難しくなったため、進級、卒業が難しくなっている。これは各大学国家試験合格率にこだわりを持っているためで、早い話が、国家試験に落ちそうな学年を卒業させないようにしている。

それにも関わらず、歯科大人気の低下のため、あまりできの良くない学生も入れる。(でも卒業できない。足踏みの確率は、ほぼ入学時の学力反比例する。)

おまけに研修医もあるので、患者さんをどんどんみるぞーっていうのが30過ぎというのも良くある。実質の労働年数はその分少なくなる。

3.女性歯科医師の増加

これは悪いことではないのだが、どうしても体力や出産等で、労働時間が短くなる。

出産育児×3人とかで6~7年くらい休む人もいるし、卒後しばらくして結婚して、もったいないけど、やめてしまう人もいる。

新卒歯科医師は4割くらいが女性だと思う。以前は9割ほどが男性だった。

4.従業員確保が難化

どの業界も同じだが、労働人口の減少により、従業員確保は他業種との取り合い。

夜間や休日の確保は難しい。保険点数は平日昼間も夜間休日も同じなので、高い人件費だして夜間休日診療をするより、17時や18時までにしたほうが良いことに気づく。

自分も19時までだったのが、17時半までの診療になった。そうすると、常識的賃金常識的人材が確保できる。

結果として診療時間は短くなる。

5.コロナ

感染対策煩雑化でわずかずつだが、ひとりひとりの患者時間がかかるようになった。

消毒や感染対策が面倒だということで、引退を前倒しにした先生が多い。

6.マイナカード

話題保険証の統合に向けて、認証機器の整備が義務化された。

補助金はあるものの、通信環境や器材を導入しなければならない。

イニシャルコスト一定額補助されるが、保守費用等は補填されない。

短期での廃業補助金返還を求めることがあるとのことで、5.と同じく、引退を前倒しにした先生がいる。

まとめると、引退する先生がグッと増えている。新しい先生引退する先生若い頃より、いろいろな事情労働時間が短い。そして人数も少ない。

日本全体で歯科医院でみることのできる患者が減っている。

歯科治療は他の医科にくらべて、一人にかかる時間が長いから、労働時間×歯科医師の人数で自ずと治療できる患者の人数は決まってしまう。

子供虫歯は減ったが、歯のある老人は増えている。総入れ歯を作っておしまいではなく、あちこち治療必要な70代は、最も人口の多い層だ。

こんな感じで、この先、人数の多い60代、70代前半の先生引退すると、どんどん歯科医院が減ってくる。

つぶれそうだと周りから見えるような医院でも通ってる患者さんは少ないかも知れないが確実にいる。

閉院にともなって、その人達が近隣の歯科医院に通うようになると、すぐに周りの歯科医院は予約が取りにくくなる。

そのような患者さんは多くがお年寄りで、時間に余裕があるから、平日昼間に確実に来てくれる。

当院では、「夕方しかこれません」、「土曜日しかこれません」という新規患者は断るようになった。

数ヶ月先まで予約が取れないかしかたない。たぶん、この流れは地方からまりだんだん都市部に進んでいく。

近所の目立たない歯科医院が閉院になっていないか

休日、夜間の診療をやめた歯科医院はないか

近所の歯科医院の看板が「急患随時」から「予約制」に変わっていないか

診療終了時刻が前倒しになっていないか

この兆候がみられたら、あなたの通っている歯科医院も予約困難になっているかもしれない。

  • 総人口も減って虫歯の割合も減ってるから歯医者の数を維持する必要ないやでという話

    • それ以上に、地方では歯科医院が減ってるという話。 今までだったら数軒の歯科医院に電話すれば、どこかでその日に見てもらえたかも知れないけど、だんだんそれができなくなるよ。

  • 話は逸れるが... 歯科医師側でも患者が離れる要素が有る事を理解してもらいたい。  ・儲け主義・・・それほど治療の必要の無い歯まで治療しようとする(他の医師はそう判断していた...

    • 周りに9軒でもなんでもあるうちはいいよ。 でも、気がつかないうちに減って、最後に残るのはあなたの言う、儲け主義の歯科医院かも。 なぜなら、雑で儲け主義の方が、利益はあがる...

  • 歯科医院の数が減ると、選択肢が減る。いい歯医者が残る保証はないってことか。

  • 待合室にgreenのサイン色紙飾ってる歯医者はクソ

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