2021-07-27

転売防止のために、メーカー自身オークション販売すればいいと思う

PS5やプラモみたいに、時間経過とともに供給量が増加していくもの転売と、公演チケット数量限定販売商品みたいに供給自体が制約されてるもの転売では、その構造対策も違うと思うんだけど、主に前者について。

正の需給ギャップがある商品には、必ず転売屋が出てくる

人気があって定価販売商品は、供給当初は需要供給を大幅に上回っていて「財の希少性」が高い。市場理論的には本来もっと高く売ってもいい(売るべき)商品を、本来の実需との均衡価格に見合わない安い価格販売しているから、結果的転売益を取る余地が生まれ需要者の効用(買うために出せる金額)がメーカーの標準小売価格を上回っている間は、その差額分の転売益を期待できるので、どうしても転売屋・転売行為は発生する。今はメルカリその他の古物販売プラットフォームもあって、参入障壁がとても低く、誰でも転売屋になれる。極端な話、普通エンドユーザーがその商品をどうにか入手できて「さあ遊ぼうか」というタイミングで一応メルカリ見て、差益が2万円も出せることを知って、「なら遊ぶのはしばらく待ってもいいかな」と心変わりして転売する、なんてことも普通にありえる。いくら倫理批判しても、転売益という実利がある以上は、転売行為を撲滅するのは難しい。

オークションなら転売屋を完全に撲滅できる

だったら、転売益という実利自体をなくしてしまおう。転売屋は市場の仕組みを利用しているのだからメーカーも同じことをすればいい。新発売から一定期間(より受け入れられやす表現で言えば「事前販売期間」)は、メーカー自身が自社サイトネットオークション形式で売るのだ。サイトで一番高値をつけた人たちに順に商品販売していく。こうすると、転売屋はその商品に手出しができなくなる

ちなみにオークションといっても1台ずつオークションにかけて1台ずつ落札する必要はない。ヤフオクモバオクなどでも実装されている複数出品オークション方式を取れば、たとえば初期ロットとして5000台を出品し、それを同時に多数の購入希望者が値付けして、入札額が上位のユーザーから5000人が落札する、ということができる。

エンドユーザーは損しない

なぜこれで転売問題解決するか。具体的にはこういうことだ。転売屋は3万円で商品を買って、「5万円でも欲しい」という一般エンドユーザーに5万円で売り捌くから、2万円の利益を出せる。でも、メーカー供給当初にオークション形式商品販売すれば、その「5万円出してでも欲しいエンドユーザー」達は、5万円を出してその商品メーカーから直接購入する。彼らはその時点での本人の主観的効用に見合った金額を払って購入しているので、一切〈損〉はしていない。さら時間経過とともに生産供給が進むことで、より高い値段で値付けする「その値段でも買いたいユーザーから順にどんどん商品を入手してゆき、実需がしだいに満たされ、オークション約定価格は下がっていく。全てのユーザーは、約定価格が「この値段なら欲しい」と思える値段まで下がった時点で、その商品を入手可能になる。これは市場の仕組みそのものだ。

転売屋は完全に活動を封じられる

一方で、転売屋も一般エンドユーザーと同様、メーカー公式オークションで、たとえばある時点では5万円を出してその商品を買うことはできる。それなら結局、オークション出品分も転売屋が買い占めて転売してしまうのでは?と思う人がいるかもしれないが、そうはならない。考えてみてほしい。オークション実施時の市場の需給均衡価格は5万円なので、転売屋が入手後すぐに転売しても、そのときに期待できる転売益は0円なのだ

さら時間経過によって、商品市場供給の総量は確実に増え、財の希少性が解消されていくので、仮に転売屋が在庫を抱え込んだとしても、それは必ず不良在庫になっていく(時間が経つごとに、入手価格再販価格の差損(逆ザヤ)が大きくなっていく)。これにより、原理的に転売屋による商品抱え込みが発生しない。

転売屋による買い占め・抱え込みが起こらないということは、オークション販売される商品が確実に実需を満たしていくということでもある。これにより、発売初期の供給難は、(転売屋の介入余地がある)通常価格での販売よりも、オークション販売の方がずっと速く解消されていく。これも市場の仕組みだ。

メーカーも損しないが、流通上の工夫は必要

オークション形式を取ることで、メーカー側は想定小売価格を超える超過利益が出る。その超過利益は、初期にプレミアム価格で買ってくれたユーザーに、購入時の登録アカウントと紐づけ、特別バッジゲーム内決済クレジット付加などゲーム体験に関わる形で(≒転売屋が転売時に付加価値化しにくい形で)還元すれば、ユーザー満足度も更に高まるだろう。あるいは何か慈善活動寄付するでもいい。超過利益を何らかの形でユーザー自身あるいは社会還元するというポーズを取ることで、メーカーは「強欲」という批判回避できる。そもそも超過利益を生むことがオークション目的ではなく、転売行為抑制して流通上の目詰まりを早期に解消できればそれでいいのだ。

そしてオークション販売サイトでの平均約定価格本来の想定小売価格に近づいた時点で、メーカーオークション形式を辞めて通常流通に切り替えればいい。その頃には、その商品転売行為で利ざやを取れると期待する転売屋は誰もいなくなっているはずだ。

オークション販売ネット通販でないと難しいから、小売店など既存流通チャネルはどうすんだというのが課題になるが、本体のものではなく購入権やアクティベーション権だけをオークション販売する、などの迂回策は取れなくもない。転売屋の跋扈倫理ではなくシステム的に抑え込むという点では、これが一番効果的な対策ひとつだと思う。転売屋の意見を聞いてみたい。

anond:20210727103646

記事への反応 -
  • 転売しているし大賛成なんだけど、そういうこと書くと批判される場所ですか? ちなみにマイナーなオモチャ関連で最高は200万/月という弱小です。いまは120万に落ち着いてます。

    • 転売ヤー嫌いが多いと思われる。 自称、市場原理に任せるリアリスト、みたいな人はどうでも良いというスタンスを取っている。

      • そうそう、殆どの人にはどうでもいいことなんです。確かに一部の市場を壊すことはありますが決して全部を破壊するわけではありません。 転売で高騰することで需要が激減する、とい...

        • PS5やプラモみたいに、時間経過とともに供給量が増加していくものの転売と、公演チケットや数量限定販売商品みたいに供給量自体が制約されてるものの転売では、その構造も対策も違...

          • これは賛同。 高い金を払ったとしても、それがそっくり企業に還流されるので、業界が縮小することもないのが魅力。

          • 転売がおきている商品というのは、それが "正しい価格" ではないことが、マーケットによって暴き出されたともいえるのである。 これは同意。だから転売を起こさないためには、メ...

            • それ独占禁止法に引っかかりそう そもそも全部が全部資本主義で動いてないから

              • 独禁法のどの条項(私的独占・不当な取引制限・不公正な取引方法)に抵触するのかわからない。よく御存知なら教えて。

            • プラモとかめっちゃ高くなりそうw 今と同じくらい買ってくれる人が保てるんかな

              • 今より高くなることはないよ。だって転売屋がやってることを代わりにメーカーがやるだけだから。供給初期には希少性に応じて価格が高く、一定期間後にはほぼ正価になる、という流...

          • これいいなぁ 特に超過利益をユーザーに還元する辺りの発想は新しくていい 極論、プラモ会社の公式通販でオークションして、定価より多く出した分は公式通販で使えるポイントで還元...

          • 全然読んでないけど 今って投げ銭文化も浸透してきているし、 販売価格5千円のプラモに 「こんな素晴らしいプラモ作ってくれてうれしい!8千円で買うわ!」 みたいな人もけっこうい...

          • https://anond.hatelabo.jp/20210727115929 ”事前販売” と言ってるからにはその期間は流通に流れないのだろうが、流通から総スカン食らっておしまいである。 転売対象になりやすいものの多くは...

            • 商売のど素人丸出し。よくこんな長文書く気になったなあ

          • 早く入手できるという点を付加価値として商品価格に上乗せして販売するっていうのはいい着眼点だなと思った 転売屋はそれにお金を出すメリットを見出せないだろうから販路を確保で...

      • 市場原理に任せたら秩序も安定も失われるから古物商許可証って制度とかがあるのにな

        • 古物商許可は単に盗品売買対策するためだけの制度だよw

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