はてなキーワード: 政治亡命とは
https://www.newsweekjapan.jp/stories/world/2020/07/2-270.php
行政書士として外国人問題を扱っていると、様々な出会いをする。ある日電話で、奥さんを日本に連れてきたいという相談を受けた。ご本人は会社を経営しており、利益もそれなりに出ている。通常であればどうってことのない案件である。「それでは、事務所にお越しください」と伝えて電話を切った。
次の日、約束通りの時間にその方はやってきた。日本人の女性と一緒だった。「妻です」と、流暢な日本語で紹介された。私が混乱したのを察したのだろう。すぐに「母国にいる妻を日本に呼びたいのです」と説明があった。お国はパキスタンである。パキスタンでは4人まで奥さんが持てる。その奥さんを日本へ連れてきたい、というのが今回の相談だった。
この方は30年以上も前に、政治亡命のような形で日本にやってきた。そのときに支えてくれたのが、10歳以上年が離れた今の奥様だったのだ。だが、子どもができなかったため、日本人の奥さんは、「自分はもう60歳を超えているので無理だから、パキスタンで若い奥さんをもらって、子どもを作りなさい」と、第2夫人を持つことを薦めたという。
しかし、「配偶者のある者は、重ねて婚姻をすることができない」と日本の民法は定めている(732条)。外国人であっても、日本国内に一歩足を踏み入れれば日本の法律が適用される。したがって、その第2夫人を配偶者として日本へ連れてくるためには、今の奥様と名実ともに離婚してもらうしかない。それをお伝えすると、日本人の奥さんはすぐに納得したのだが、決断できなかったのはご主人の方で、それから30分ほども涙が止まらなかった。「長い間なんでも相談して2人でやってきたのに......」
グローバル化に合わせて多様な結婚形態も認める時期に来ている。
日本も外国の同性婚や一夫多妻婚のカップルを受け入れざるをえないだろうし、日本のイトコ婚の家族を外国も受け入れざるをえない。
場合によっては、日本の民法が想定する年齢未満のカップルも外国で正式な婚姻関係と認められていれば受け入れることになるだろう。