高校生のときはなんとかなっていたが、大学生になってから症状が悪化した。
入学時はまだコロナ禍でほとんどの授業がオンデマンドで行われた。先延ばし人間とオンデマンドは相性が合わない。「期限までに見ればいい」が、だんだん「期限までに録画してみればいい」になる。それが「試験までに見ればいい」に、変わる。当然、試験直前に一教科20時間のビデオなんて見るわけがなく単位を落としまくる。
2年になると対面授業がぼちぼち増えてきた。生活習慣が終わっていたので、授業が始まったらスマホで録音を開始して、あとは寝ていた。当然、視覚情報のない授業なんて聞いてられるわけがなく、また単位を落としまくる。
3年になる。なぜか授業中眠くなることがなくなる。そのおかげか大体の授業はある程度聴くようになった。いつも通り試験対策は直前に5時間ほどやるだけだったが(集中もしていない)、1回でも授業を聴いてるとレジュメの内容をなんとなく理解できるようになり、結果単位もほとんど落とさずに済んだ。
3年秋。就活が始まる。自分はESに書けるようなことはしていないからもっと早く始めるべきだったのに、また先延ばしをしてしまっていた。いや、一応5月くらいに就活サービスみたいなのに登録はしていたが、登録してから毎日電話は5回、メールは20通は来るから嫌になって遠ざけていた。
業界も職種もなんも絞っていないけど、とりあえず面白そうなところにESを書くことにした。猶予はかなりあった。1か月以上前には締め切りを知っていたはず。
なのに、なのに、間に合わなかった。あと10分あれば出せたのに。あのときYouTubeなんか見てなければ。あのときベッドでゴロゴロしていなければ。
毎回あと10分足りない。2時間足りないとかだったらあきらめもつくけど、本当にあと10分だけ足りない。なぜか。
多分あと10分あれば作れたものは、自分が作るもののなかの最低ラインなんだと思う。本来そのクオリティのものはもっと前の時点で作っておいて、そこから何回も何回も推敲してようやくいいものができる。
なのに自分は1発でなんとかしようとしている。この2時間で終わらせるぞ。この半日で終わらせるぞ。
そうじゃないんだよ。提出物って普通一回寝かせるもんなんだよ。
多分あと10分あれば作れたものを最初から目指していれば、2時間で終わらせることもできたはず。でも、毎回最低ラインのものをつくるために必要な時間しか残っていないのに、最高のものをつくろうとしている。残り15分になってようやく「最低ラインのものをいったんつくらないとダメだろ」ということを思い出す。
いま雑に文を書いてみて分かった。1回目はまず気楽に書く。いいか悪いかはさておきで。とりあえず字数だけ埋める。カスでもいいから全部完成したうえで、修正を加えていく。それが正しい。最初から完璧にしない。
先に延ばす前にいったん埋めるだけで、次書き直すの気持ちがだいぶ楽になるはず。できたらいいけど、