当時は失業給付の要件としてハローワークの検索機を使用して求人のペーパーを請求する必要があったので、怖いもの見たさであれこれ印刷していた。
市内の雑居ビルの3Fだか4Fに居を構えるその出版社は全くの無名だった。
iPhone3GSで検索しても郷土史(意味深)の広告が多少表示されるだけで、どのような会社か不明だった。
ハローワークのあっせんでひとまず面接ということになり赴くと、常務が対応してくれた(のちに逮捕)
通された応接間は壁一面が本棚で、ハードカバーで丁寧な装丁の書籍が隙間なく並べられていた。
右翼気質のタイトルと左翼気質のタイトルが無節操に並べられていたのだ。ほーん、と思った。
面接自体は手ごたえもなく雑談タイムに突入して、壁の本について尋ねたところ、やはりすべてその会社で出版したものらしかった。
ははあ、こういう本を世の中の経営者だの医者だのに売りつけるんだな、とひとり納得していたところで、おそらく自分が理解していたでことであろうことを理解していた常務に丁寧にお見送りされて帰った。
結局送検されたかどうかまでは当時調べてもわからなかったが、闇な仕事、闇バイトはどこにでもあるんだなあと身に染みたのであった。