2024-08-13

歌を技術評価するな

カラオケ精密採点が広く流行ってから、歌を「技術」で評価するスタンスは世に広まったと思う。

しかに、カラオケ精密採点ではリズム音程に加え、しゃくりやビブラート評価軸にあり、なかなか良くできた仕組みであることは間違いない。

これらを自分趣味で歌う上の遊びのツールとして使うのは良いだろう。

しかし、この視点を持って音楽聴くことは、あなた音楽体験を著しく損なう

 

 

 

歌に限らず、ギターベースドラムバイオリンといったありとあらゆる楽器共通する特徴だが、

楽器において技術力というのは「足切り」としてしか機能しない。

楽器がどれだけ上手くても、音楽の魅力に繋がる要素は限定的である

これは大学受験共通テストの点数ばかり良くても、二次試験で点が入らなければ大学合格できないのと似ている。

 

 

 

音楽の魅力は何か。

これは語り出すとキリがない。ジャンルリスナーによって大きく異なるが、

ざっくりいえば、何らかの感情の揺さぶりを生むことができるのが魅力だ。

平たく言えば「ノレる」「アガる」「泣ける」などといったもの音楽の魅力と言って良いだろう。

 

 

 

一例として「ノレる」音楽場合を考える。

この時、たしかに最低限の技術がない歌は問題だ。

リズムから極端に遅れたり走ったりしている歌はノレない。

しかし、技術解決できるのはここまでである

歌が「ノレる」状態を目指すには楽曲理解、ひいては楽曲に合わせた歌い方をしていく必要がある。

「少し音程がずれている状態がよりノレる。」

「少しリズムがずれている状態がよりノレる。」

ビブラートがない方がよりノレる。」

 

こういったことは日常的に発生する。

 

 

すなわち、音楽において、楽曲に跨って共通する「技術」で解決できる問題は微小であり、

ミュージシャン楽曲ごとに、一見して技術が低く聴こえるスタイルをとることは日常的にある。

 

 

にもかかわらず、リズム音程といった普遍的技術にこだわって聴く行為は、こうした表現の許容幅を自ら狭める行為であり、

百害あって一理なしだ。

 

 

表現としての音程ズレなどに対し、「今音程外したね〜w」などといったコメントをすれば、

詳しい人には、たちまちニワカであることはバレてしまい、

音楽を知らない人には、性格の悪い奴だと思われるだろう。

 

あなたはそんなリスクを犯す必要はない。

歌を技術評価するのはやめよう。

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