この世に生きる全ての人間は母親の子宮からひねり出されてきてるんだよ。
無から突然生えてきたり、次元の扉が開いてワープしてきたり、そんな人間は一人もいないんだ。
きわめて物理的な因果の連鎖の帰結として今、おまえは存在してるんだ。
生前と死後が一方通行?質問の意味がわからないが、あえて意をくみ取るとすれば「人間には物理的な肉体とは別に非物理的な霊魂のようなものが存在していて時空を超える」みたいな話か?
お前がお前であるという感覚を担っているのも霊魂でなく脳みそ。
認知症で脳が壊れていき、数年かけて記憶と自我を失っていく人間を見れば、ヒトの生命活動もただの物理現象の集合体でしかないことに気づけるだろう。
そもそも大前提を共有できているか怪しいので、もうひとつ重要な概念の話をしようか。
詳しくは因果的閉包性で調べてほしいが、簡単に言うと「この世のあらゆる物理現象は物理現象の因果関係だけで説明される」ってことだ。
現実とフィクションの区別がつかない子供やオカルトにハマるおバカさんでもない限り、これが今の世のあらゆる科学的法則の大前提だって理解できるだろう。
たとえば「東日本大震災は天罰だ」とか「神社に毎日祈ったらガンが治る」とかそんな考え方がナンセンスなことは普通の賢い人であればわかる。
霊魂も同じで「物理的な肉体に非物理的な霊魂が作用する」あるいは「物理的な肉体が非物理的な霊魂に何かを刻み込む」なんて考え方はナンセンスの極みなわけだ。
数百年前の科学的知見がショボかった時代の人間だったらたとえ賢くてもオカルトにハマってしまうのは仕方ないと言えようが、今のこの科学全盛期の時代、ほとんどの事象を科学的に説明できてしまう時代にオカルトにハマるのはちょっと知性が足りなすぎる。
というわけで、「生前と死後は一方通行」の意味するところはよくわからないが、まあ普通に考えれば一方通行だろうね、と答えておく。