今、ITエンジニアになりたい人たちが、その入り口で苦労していると聞きます。(いわゆる「駆け出しエンジニア」)
その話を聞くと、とても不思議な感じがする。
というのも、私、生まれてこのかた、エンジニアになりたいと思ったことが、未だに一度もない。エンジニアとしての自覚もない。
ハロワの職員にすすめられるままITの世界に入っただけの存在。入口がハロワですよ?そのくせ今は、けっこう良い給料をもらえている。
したがって、ITの世界ほど敷居の低い世界は無い、と思っている私と、「駆け出しエンジニア」の人たち、
はたして本当に同じ世界の住人なのだろうか?と感じるわけです。
私が零細SESソフト開発企業に就職したのは15年くらい前のこと。
フリーターの私がバイトをやめて、希望する職種も業種も何もないまま虚ろな目でハロワに行ったら、あっという間に就職が決まる。
当時私のスペックは、年齢は20代後半、学歴は三流大文系中退、職歴はなし。ただし物好きなところがあり、IPAの二種と、SJC-Pを持っていた。
深い考えもなく、シャレでとっていた二つの資格が、おもわぬコスパを発揮したってことになるわけですが、
さてこの当時と今で、何が違い、何が違わないのか。どちらの時代の方がITの門を叩きやすいのか。そこが気になっているわけですね。
ITの世界というのは、経験年数や経験の蓄積が役に立たない、という点で、とても素晴らしい世界。
先輩や年配者、経験者の市場価値は、まるでダブルインバースやオプション価格のように落ちてゆき、
後から門を叩いた者ほど、つねに有利になる。この、IT業界の特質は、私が見る限り、15年前も、今も、変わらないように見えます。
だからこそ、いい加減な私だって、入りこめたし、若い人や未経験者がこの世界に入りづらいなんてことは、とても考えづらい。
というわけで。エンジニアとして駆け出そう、とか思わなくても、
ただ物好きでさえあれば、きっとITの世界には入り込めるし、いい暮らしが出来るようになるはずだと、思うんですよね。違うんですかね。
一方、きっと努力は報われるとか、継続は力なりとか、そんなこと言いながら、引かれた線路を進むのが得意な人は、
ITの世界に入るのは、よしておいたほうがいいでしょうね。ITの勉強は、賽の河原の石積みですからね。
ついでに。SES企業には入るべからずみたいな言葉は、真に受けちゃいけませんよ。
あれはパフォーマンスを出せない人たちが、自らの無能を棚に上げて、境遇の悪さを無理やりSESのせいにして納得しようとしているだけ。