相手はキチガイじみた知り合いだからだ。初めて話したのは15年も前になる。
略してキチは、同中の同級生で、接点は同じ部活なことだった。キチは野生児みたいに何時でも学校を裸足で走り回っていた。が、愛嬌があったんで、なんとなく周囲もキチに甘かった。
さて、キチのキチぶりを挙げる。まず、破壊工作をする。二人きりになったとたん「なんかムカつく」といってトンカチで校内中を叩き始めたり(やめるだろうと思ってトンカチの下に手を置いたら構わず叩かれ指がえぐれた。)私のものを奪って隠したり使ったり(毎日返せと追いかけていた)急に一ヶ月くらい態度が冷たくなって「お前に飽きてたシーズンだったんだよね」と爆笑される。
でも同じ部活なんで、毎日会うしお互いなんかものづくりしてた。まあ二人きりになると突然奇声発したり窓から物捨てられたりとかは時々よくあったけど、キチがつくるものは好きだったし、向こうもこっちのつくるもんには手放しで褒めて欲しがるもんだから怒ったり出来なかった。
そうなんだよ、キチは1、2時間くらい正気な瞬間があって普通に話せてるときは凄く好きだったから、怒る気になれなかった。下駄箱の隅で一つの漫画を読んだりしてた。嘘をつかないところは良かった。
対して私は嘘つきで、天然キャラを装っていた(黒歴史)「みんな大好きみんな友達」というスタンス。当時学校では、名前の順で生徒をいじめるというアホなことが行われており、天然を発揮すべく現場に乱入していじめを妨害しては「いじめっこも人類みんな友達☆」と言っていた。なのに、ある日部活中。キチがいじめっこのことを「あいつはキモいよな」とニヤニヤ私に話してきたとき、頭で考えるより先に心が共感して、ドキッとした。その後ポリシーも忘れて「キモい」と叫んで誰もいない放課後の学校を2人で走り回った。
受験当日では、親友とキチと偶然同じグループになり、皆で受かったらおもろいなと思っていた矢先自分だけ落ちた。結果的にキチとは疎遠に。携帯なんてないしね。
んで成人してから。親友を通して、会うことになった。凄く嫌だったし手にはえぐられた傷跡が残ってて怖い思いしてた事も伝えたけど根負けして再会した。
会ってみるともう裸足じゃなかったし奇声ださないし、落ち着いていて小綺麗になっていた。時々正気になっていた頃の時間が延びたみたいだった。
急に行き先もわからずスカイダイビングに連れていかれた以外は普通に遊んでて。二人きりになっても普通だった。単純に社会に揉まれて丸くなったのかな~って思ったけど真相は謎。各々のことは滅多に話さないから(オナテクの話しはする)なにがあったかはわからない。ただ反省はしているのか、反動なのか、すごく私に優しくなった。
で、この間、仕事やばすぎて徹夜だわ風呂も入れてないわ飯も食ってないわで家の中でホームレスしてたら、夜中に「散歩行くから来い」と誘われた。当然断ってしまった。ので、落ち着いたからこちらから誘ったのがついさっき。