■あなたの会社の働き方改革

この4月から、中小企業にも残業規制が適用される。満を持して会社が発表した対策が「所定内労働時間を長くして、残業としてカウントされる時間を減らす」。実際には、以下の方策の合わせ技である。

• (1) 終業時間が30分後ろ倒しになった。うち15分は休憩時間で、実労働時間としては15分の延長だが、今でも昼休憩を取らずに働いている人が多数の職場なので、実質30分の延長である。
• (2) 出勤日が8日増えた。いや休日数が8日減った。
• (3) 出勤日が増えた代わりに、法定外有給を5日付与するという。いやそれ、義務化された5日間の有給取得分だし。つーか、その5日も休んだことにして実質休んでない人が大半だから、総数が増えても関係ない。
• (4) 20時以降の残業禁止。これで持ち帰り残業が大幅に増えること決定。万が一職場でしか出来ない作業があって残業するとしても、労働者が自発的に働いたことにされること決定。
• (5) 年間単位の変形労働時間制の導入。翌月の勤務時間は、前月にアナウンスされる。社員としては、毎月10時間労働のつもりで待機する必要がある。育児や介護のある社員は自発的に辞めろということか。地味に、残業代の計算の基礎となる時間単価が下がる方策でもある。

• (1)～(5)の合わせ技で、毎日20時まで残業している社員は、約1割手取りが減少する。それどころか、20時以降の残業分は全て社員個人の自己責任となる。
• もともと「やることやったら、いつ休んでもいい」と言いつつ、その「やること」を膨大に、しかも非効率な手法で行うことを押し付け、上下関係は極めて抑圧的でイエスしか言えない会社なので、社内全体で長時間労働が蔓延している。
• 会社としては、来るべき不景気に備え、人件費を予防的にカットして、経営目標を達成するということらしい。
• 不利益変更という声が聞こえるが、もちろん不利益変更であるが、我々のような末端の労働者に選択肢は無い。組合もない、他の職場の選択肢も無い、ホワイトな職場に入れない履歴の人間の吹き溜まりだからである。

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