傘:
作中にてるてるぼうずをぶらさげた傘を振るシーンがある。この傘が黄色いのは2014年香港デモ「雨傘運動」を意識したためだろう。
このデモで傘を用意していたのは、警察が投げ入れてくる催涙ガスに備えるためとのこと。
代々木会館:
作品に登場する廃墟のモデルになった建物だが、「東京の九龍城」と形容されていたらしい。
香港のうち、香港島・九龍以外の部分の地域だ。香港返還は1997年だが、新海誠が自主制作活動を開始したのが1998年頃なので、ペンネームを決めるときに意識した可能性はおおいにありそうな気がしている。
銃:
香港映画といえばガン=カタ...という冗談は置いておいて、私が推すのは武力の象徴という説だ。
島:
主人公帆高が出てきた島は神津島がモデルと言われている。この島が選定された理由としては、都道府県では東京都になること、名前に神木隆之介の神と新津誠の津が入ってることなどが考えられる。
ただ、構想段階では香港島から出てきたという設定も一案としてあったのではないかと想像している。
さて、私が想像する構想段階のプロットはこうだ。2021年、規制が強まり言論が統制されてしまった香港。主人公の森帆高(セン=ファンガオ)は、体制派の父親と折り合いが悪くなり、香港島を飛び出し日本へ渡る。ふとしたきっかけで拳銃を手に入れた帆高。武力があれば故郷の状況を変えられるのではないかと思いつく。表向きは「お守りがわりに」と言いつつ、拳銃を隠し持つが、最終的には愛する人を守るために武力を捨てる決意をする。
ところで、中国政府が香港に対して強気に出られない背景には、てんあんもん事件のときのような世論の悪化を懸念しているからだと言われている。つまり皆が目を向けること、関心をもつこと、それが言論を統制しようとする圧力に対してきっと抑止力となってくれるだろう。