いまだにわからないことがある。14年前のことだ。
当時21歳だった俺、某大学の学生だった俺には一人の女友達がいた。もう本名を書くが、直子という女だ。
彼女はまさに容姿端麗であり美少女の影を残した美女であったが、無口という消極的な要素が最大限働き、同じマイナーサークル(映画サークル)ということもあり、俺が唯一無二の友達になったのである。
当然、勉強以外何もできなかったクソ童貞である俺は彼女という女体の出現におののき戦慄し緊張し喜んだわけだが、彼女は総一筋縄では行く女性ではなかった。
これは書き起こすと本当に嘘くさいし物語っぽい展開ではあるのだが、彼女はその後癌にかかったことが発覚したのだ。推定余命は一年足らずだった。
俺は彼女に心底同情し、彼女とともに泣きわめき、一晩中一緒に泣いた。本当に悲しんだ。俺はいつの間にか彼女を心底愛していた。親が死んでもこんな感情は湧き上がらないだろうと思った。
俺は中学生のように彼女に告白した。そして彼女は、困ったような顔をしながらも受け入れてくれた。あの表情は一生忘れられないだろう。本当にきれいだった。大好きだった。
俺は毎日彼女に会いに行った。所詮、交際というままごとであった感は否めないが、俺と彼女は愛し合っていた。それが否定されることは絶対ない。俺たちは愛し合っていた。
そんなときだ、彼女が突然別れを突きつけてきた。俺が絶対に嫌だ、というと彼女は数日前にサークルの先輩のDさんと肉体関係を持ったという、当時の俺にとっては信じがたいことを投げかけてきた。
彼女は畳み掛けるように言った。お見舞いに来たDさんを自分から誘ったこと、避妊もしなかったこと、俺への罪悪感はあったがしてしまったこと。
俺にはさっぱりわからなかった。なぜか…まったく理解できなかった。これが理解できるならば、万物の理論もわかるに違いない。
俺たちは別れた。そしてその2週間後、彼女は死んだ。
彼女の母親に葬式へ招待されたが、行かなかった。俺は彼女のことを心底愛していた。それだけで十分だった。
さてそれから14年経った。そして本当に偶然、仕事の関係で俺はDさんと再開した。
久々に会ったDさんは公認会計士になっており、バリバリ働いているようだった。
それに比べて俺は一企業の社員だ。フツフツとぶつけようのない怒りがこみ上げた。
俺は、機会を見てずっとずっとずっと聞きたかったことを聞くことにした。
「直子を抱いたって、本当ですか? 彼女は14年前に死にましたよ」
…Dさんは心底困惑したようだった。確かに直子のことは一サークル員として知ってはいたが、そのような病気だったことは一切知らなかったし見舞いに行ったこともない。当然そういったこともないということだった。
彼の瞳を覗き込んでも嘘の色は見えなかった。彼は無実だったのだ。
こうして、俺は途方にくれた。
なぜあんなことをしたのか、嘘だとしたらなぜそんな嘘をはいたのか、なぜ俺を尊重してくれなかったのか。
もちろん、この話にはなんのオチもない。
うんち
どうせ後先短い自分に愛着を残してもらっても辛い思いをさせるだけだから、 死ぬ前に未練を断ち切ってもらおうと悪役を演じたんじゃねーの まあ14年もわだかまりが残ってる時点で目...
冷静に考えて、その先輩に事実を確認すれば良かった。 騙されるやつの特徴は、確認しないで、自分の思い込みで完結してること。 次からちゃんと確認しなさい。
コンタクトの大富豪だよ 意味がない嘘をついて君の心の中に少しでも長く生きていたかったのだ 疑問が解決すると消滅してしまう 彼女を殺さないでほしい