行きつけのレストランがある。
ひなびたイオンの近くにある、800円から1000円くらいの洋風定食メインのレストラン。
30年前から知っている。
なぜなら小学校の同級生の実家だからだ。女の子で6年間ずっとクラスが一緒だった。
子供の頃は特に行く機会が無かったが、仕事の都合で東京から地元に戻って来てから駐車場付きでランチが食べられる場所を探すのに難儀し、そういえばと通りかかった時に駐車場付きであることを思い出し通うようになった。
初めて入るときは緊張した。
もしかしたら同級生がいるかもしれない。ぼくは中学校から私学に通ったので出会えば実に二十数年ぶりだ。そういえば、あの子、僕のこと好きって言ってたような…周りの女子に茶化されて有耶無耶になったけど小学校特有のノリでそんなのがあった記憶が…何するわけでもない小学生の色恋なんてそんなもんだよな。
ガラン。
昔の喫茶店のようなドアベルの音。入った。しかし、自分と同じ歳の頃の女性はいない。いるのは親御さんだけ。面識は無いし、挨拶を交わすことも無く、少し安心しつつ日替わりランチを注文し時を過ごす。
それから数回通ったが同級生がいることも無く、むしろ馴染みのランチとして通うようになった頃、完全に油断した。昨日入ったらいた。同級生が。
いたー、けど、この子かな?まあこの子かな。ぱっと見地味な印象は変わらない。彼女も完全に油断しきった仕事用普段着スタイルで、化粧をすることなく、味噌汁をついではお盆を運んでいた。
注文係はお母さんなので会話を交わすことは無い。割とじろじろ見ては見たが、同級生が来るとはついぞ思っていない彼女は終始油断しきってダラダラ親の手伝いをしている。
想像する。彼女の人生を。他に働きに出たこともあったろう。指輪はしてないけど結婚してないのか。地元にいるから他の同級生と交流はあるのだろうか。日替わりのカツレツを食べながら想像する人の人生は儚い。哀愁。なぜか失恋レストランが頭に鳴り響く。
もちろん僕は彼女に声はかけなかった。油断した相手に不意をつくのは野暮だろう。そういう相手とは会うことを前提に会うことが礼儀である。地元で生きるとこういうことがあるから人生は面白い。
これはそのうち同級生がレストランの料理に出てくる流れ
子宮の煮込み
気持ち、悪い