2018-10-16

幸せ母親

妊娠が判明した瞬間、絶望した。

あと少しでずっと憧れていた職に就けるところだった。

過労で倒れるほどの下積みを経ていた。

私は30代目前にもなって、まだ自分のことで精一杯な毎日で、

そういえば入籍もしていなかった。

ただ、偶然にも、私は恵まれていた。

子供父親結婚を望んでくれ、まもなく正式に夫となった。

たくさんのひとに祝福してもらった。

職場は相変わらず激務だったが、産休までの間本当に色々とサポートしていただいた。

「おめでとう」

胎動感じると一気に母性が出てくるよ」

赤ちゃん早く会いたいね

私はその言葉全てに笑顔で返したが

心の中では泣いていた。

今じゃない。

妊娠は、おめでたいこと。

分かっている。

どんなに望んでも子供に恵まれないひとたちがたくさんいる。

こんなにお腹が大きくなって、こんなに強い胎動奇跡だ。

なのに喜べない。

仕事も遊びもろくにできない毎日、ちっとも楽しくない。

どうして?これがマタニティブルーというもの

そして、そのどす黒い感情を内に秘めたまま、出産した。

「おめでとう」

母乳をあげると幸せ気持ちになるよ」

「すごく可愛いね。抱っこしたい」

その気持ちがよく分からない。

赤ちゃんは、可愛い

分かっている。

の子は今私を頼って全力で手足を動かし、泣いている。

母乳をあげた。

とても上手に飲んでくれた。

でも、違う。

此の期に及んでまだ私は心の中で失った毎日を嘆いている。

世間ではちょうど産後うつ話題になっていた。

ホルモンによる一時的ものである場合が多いら、周りの手助けが大事です、と。

妊娠が分かってからずっと静かに鎮座しているこの感情

果たして一時的もの」?

私は実母とは幼少期からウマが合わなかったが

それを察してか義母は私にとても優しく、産前産後

何度もお世話になった。

夫も育児に協力的で、あやすのなんか私より断然上手だ。

片付けは少々苦手だが、夫の作る料理はとても美味しい。

周りに誰かがいるときは、

私は泣く赤子に笑顔で、かろうじて話しかける。

「どうしたの?おっぱいかな?オムツかな?」

家でこの子ふたりきりのときは、

私は上手く笑えない。優しく話しかけることもできない。

怖くて鏡なんか見れないが、きっと恐ろしく無表情だ。

こんな母親申し訳ない、と思う。

だって、きっと、すごく可愛いのだ。こんな可愛い生き物はいない。

なのにどうして?

はいつまでも身勝手感情を拭えないんだろう。

私の母性は一体どこにあるんだろう。

妊娠タイミングコントロールできなかった自分が悪い。

ライフプランをきちんと夫に伝えていなかった自分が悪い。

責める相手自分以外にいない。

子供は、生後3ヶ月を迎えた。

どこからどう見ても、私は「幸せ母親」だ。

  • 小町んぽでやれ

  • 乙 とりあえず精神科ですね

  • 旦那さんがかわいそう

  • 3ヶ月くらいだとまだ意思疎通できないから動物飼ってる気分だよね。あと半年後もたつとだいぶ人間っぽくなる。そしてかけがえのない仲間というか本当に愛おしいものになる。 40年後...

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