数年前までロジカルシンキングが苦手だった。論理が飛躍してるって大学の教授によく言われた。
結局それがよくわからなくて、研究がうまくいかないまま卒業して、就職して、エンジニアになった。
研究はうまくいかなかったけど、いま仕事はそこそこうまくいってる。
で、今年入ってきた新人が学生時代の自分と同じタイプっぽい。人に伝えること、主張が苦手、論理が飛躍する。
そんなわけで改めてロジカルシンキングについて調べていたら、あることに気づいた。
カップリング同人書くタイプのおたくが日々やってるのって、ロジカルシンキングだ。
作品を見て、自分はどう考えるか、どこの組み合わせが一番萌えるのか、自カプを見つける作業。
ストーリーの裏側に垣間見えるキャラとキャラの関係性の行間を読んで(妄想)、読み手を納得させるだけのロジックを積み上げて、自論を形にする。
社会人になってからはじめて長めの作品を書いたり同人誌出したりするようになって、あんなに苦手だったはずの論理思考が多少できるようになっていた。いまだに言葉が足りていないことはあるけれど、少なくとも職場では論理の飛躍を指摘されることはなくなった。
「プライベートでも論理思考を訓練してほしいけど、どういうのが良いんだろう」と上司が頭を悩ませていたけど、自分にとってのそれは明らかに同人活動だったと気づいた。
からっぽな人間ってマジでなにも考えてないんだよ。面白いアニメ見ても本読んでも、面白かったな、で終わるの。
今だったらわかる。この話が良かったとかこのキャラが好きだとか、ふたりの関係尊いとか、こいつら絶対付き合ってるわ〜とか。あるじゃん。ないんだよ。「考える」「わかる」のレイヤーが一段階違う。そこを知るきっかけをつかめないとたぶん永遠にそのままだ。
幸運にも自分は、周りにいた強火のカプ厨に囲まれて自カプの主張で殴り合う姿を見て、そのときはじめてその壁を越えられた。
主張がない、伝えたいことがない、感想や意見が思いつかない、そういう人のための人生を楽しく過ごすための最高のトレーニング。
最悪書かなくても良い、自カプを見つけろ。作品に描かれていない部分に存在するふたりの関係性を読み取る訓練をするんだ。
そしてあわよくば自カプの件数に貢献してほしい。いやごめんそれは邪念だけど。