2017-02-14

ミミミド~の話

小学3年生の時に転居した土地は、以前住んでいたところよりもかなり田舎だった。

以前は田畑は少々あるが小さな商店住宅がひしめき合っている町。バス10分置きには来るくらい。ほぼ標準語で通学は私服だった。

転居先は、田畑が広がり校内の過半数農家の子バスは2時間に1本程度で、かなり訛りがあり通学着は指定ジャージだ。

転校して一番のカルチャーショックだったのが、その訛りと文章の読み方である

話し言葉にも訛りはあったが、音読の訛り方はそれと全く違っていた。

教科書音読をすると、皆一様にいかにも妙なイントネーションで読み上げるのだ。

そのイントネーションとは、文章の頭からずっと同じ音程で読み、句読点の前の一文字だけガクッと音程が下がりながら語尾を伸ばすというもの

音符に直すと「ミミミミミド~、ミミミド~、ミミド~、ミミミミミミミド~」という風に。

例文で表すと

こんにちはわたしタナカイチロウです、トウキョウから、デンシャで やってきました。」

「ミミミミド~ミミミド~ミミミミミミミミド~ミミミミミミド~ミミミミド~ミミミミミミド~」

このようになる。

決して冗談ではない。

両親に連れられて行ったスーパーマーケットでも店内放送は同じようにミミミドのイントネーションで流れており、大人も同じであることに改めて驚いた。

話が前後するが、私は転入先の小学校いじめに遭っていた。

転校初日学校指定ジャージの購入が間に合わなかったため、以前の学校と同じように私服で登校したことが発端だった。

前述したようにこの学校ではジャージが通学着で、男子は青、女子臙脂色指定ジャージを着用している。

その上指定されてもいないのにほぼ全員がプーマの白いスニーカーを履いていた。

またこのジャージは通学着に限らず普段着としても着用しており、私服を着るのは冠婚葬祭だけという者が多い。

話し言葉服装も違う異端はいじめの格好の的になった。

必死話し言葉を合わせて、ミミミド~読みも会得し馴染もうとしたが、状況は好転することはなかった。

日々の陰湿いじめに耐えるのにもう飽き飽きし、これ以上媚びても仕方がないと、5年生になった時にミミミド~読みを止めることに決めた。

そして国語時間音読指名を受け、私は意気揚々標準語教科書を読み上げた。

周りが、先生までもが私に注目し、読み終えたあとの静寂に誇らしい気持ちになった。

その後いじめが酷くエスカレートしたのは言うまでもない。

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