文章が得意ではないので書こうかやめようか何度も悩んだのですが、でもこれが理由で悩んでいる人を沢山見てきたので、やっぱり頑張って書いてみることにしました。
好きなことが仕事になったらいいなって思っている人が結構いると思うんです。
そうやって好きなことを仕事にして輝いている人を見ると素敵だなって思うし、目の前の仕事が自分の好きなことだったらもっと頑張れるのになって思ってるかもしれません。
でも、多分それはやめたほうがいいです。
なぜなら、好きなことを仕事にするということは、自分の魂を切り売りするのと同じだからです。
例えば好きな絵を仕事にしたくて、書いた絵を売りに出すとします。
しかし、その才能にニーズがなければ、その絵には大した価格はつかないでしょう。
その絵が、どれだけ大切に情熱を込めて作り上げたものだとしてもです。
でも、生きていく以上はその絵を売らなくてはいけません。
この瞬間に生まれる自分が思う価値と売れたときの価格との差額が、あなたが生きるために魂を売った価格です。
売りたい価格を付けることは自由ですが、売れる価格は世の中が主導権を持っています。
どんな価格を付けたとしても売れなければ価値がないのと同意です。
好きなことを仕事にする以上、この事実からは避けて通ることはできません。
これが情熱と希望を胸に、好きなことを仕事にしようと社会に漕ぎ出した自分に待っていた現実でした。
成功者の多くは、ただ好きというだけでなく、人よりもずば抜けた才能を持っているか、たまたま時代が求めるものに一致した場合かのどちらかです。
好きなことができれば貧しくても幸せだなんていうのも嘘です。
生きていくために自らの魂を切り売りすることは、生きていく意味を見失いかねないほどにむしろ苦痛でしかありませんでした。
もし好きという思いが強ければ成功できるなら、世界中には成功者が溢れているはずです。
このままでは暗い話で終わってしまいますが、それからいろいろあって、今では自分が好きなこととは全くかけ離れた業界で働いています。
全く見ず知らずの業界で働きながら、好きなことに価格をつけることは苦痛でしかなくても、得意なことに価格がつくことはむしろ喜びであることに気が付きました。
そうはいっても得意なことを仕事にしようとこの業界に入ったわけではありません。
働いている途中で気付いたことが、自分の得意なことがこの業界でも役に立つかも知れないということでした。
得意なことと言っても、それだってずば抜けた才能が沢山あるわけではありません。
人よりも少し得意な程度のものが2つ3つあるだけで、一つ一つの分野だけで言えば社内には自分より得意な人間がいます。
ただ、それぞれを組み合わせた仕事への取り組みは自分にしかできないものでした。
それによって生み出せるものを、私以外には作れる人はいませんでした。
それが会社の中で唯一無二な価値になり、今では無くてはならない存在と言われるまでになるようになりました。
多分に運の要素も多かったのだと思います。
ただ、それをわかった上でお伝えしたいことは、一つ一つが誰よりも優れていなかったとしても、それぞれを組み合わせることで人には真似出来ないものを生み出すことが価値になることもあるということです。
沢山の人が沢山の個性を持って生きていく世界の中では、何かに一番になることと同じくらい、唯一の存在であることでも活躍できるのだと思います。
今では生活に少しの余裕もでき、自分の好きなことに再び没頭する時間を持つことができるようになりました。
あの時、好きなことで生きていくことを諦めていなければ、好きなことを好きなままではいられなかったかもしれません。