日本のドラマはつまらん、役者がクソほど下手で見てられない、その点、海外は役者のレベルも高くてすばらしい、だから海外ドラマばっかり見ている・・・という知人がいる。
なんか、日本は役者のレベルもテレビ局や映画会社のレベルも視聴者のレベルも低いからダメ、らしい。
自分はあんまり海外ドラマ見ないほうで、日本のドラマも、まあ、たしかに酷いのもあるけど、最近で言えば真田丸をみて「役者が下手」とは思わなかったし、そこそこ話題のドラマとか映画は見るほうなのだが、そんなのは「低レベルのエンタメで満足している人」に思えるらしく、なんだか見下している風でもある。
で、話を聞いているうちに気づいたのだが、ヤツは、海外ドラマを「吹き替え」で見ているらしい。
そりゃそうだ。ヤツがそんなに英語が得意だという話は聞いたことがない。とてもドラマをそのまま理解できるヒアリング力があるとは思えない。
いや、ちょっとまてよ。
すると、ヤツのいう「海外の役者のレベル」って、そのかなりの部分は、「日本の声優のレベルの高さ」なんじゃないの?
台詞回しとか、しゃべる間とか、全部、日本人が日本語でやってるんだよね?
演技力って、そういうのもかなりの割合が占めてると思うんだけど。
あの、洋画とかドラマとかの吹き替えの、独特のしゃべりは、単体で取り出すとかなり不自然だと思う。
あんないい声で滑舌よく、こじゃれた言いまわしで話す日本人は、すくなくとも自分の周りにはいない。
あれが不自然でないのは、「外国人の吹き替え」というフィクションを前提として受け入れているからだ。
友近が一時期、「ビバリーヒルズ青春白書」だかの「キャサリン」というキャラクターをギャグとしてやっていたが、あれがギャグとして面白いのは、「海外ドラマ以外の世界にあんなヤツはいない」からだろう。
しゃべり方だけじゃなくて、表情とか動きとかも、デフォルメしてギャグにしていたけれど、やはり、一般的な日本人と比べると、いろいろ異質なのだと思う。
日本人と欧米人だと(欧米人ってひとくくりにするのも違うのだろうが)、感情表現の仕方とか、ちょっとしたしぐさとか、やはりいろいろ違うのだと思う。
ちょっと前の話だが、朝ドラの「マッサン」でエリー役を見ていたら、日本の俳優さんとは違う感じの演技で泉ピン子にいびられていて、なんか面白かった。
彼女は多分、すごくうまい女優さんなんだろうと思ったけれど、あれが果たして、外国人がみて「リアル」だったのかどうかは良くわからん。
自分は、そこまで海外生活の経験とかあるわけでもないので、外国人の演技が外国人として「リアル」なのかどうか、それほど自信をもって判別できないのだ。
だけど、日本人が普通の日本人を演じていれば、すぐに「そんなヤツいねえよ」「それは不自然だよ」ってのがわかる。
結局、「海外に比べて、日本の俳優って下手だよね!」って言ってる人の大半が、「海外の俳優が本当にうまいかどうかはわかってないけど、日本人だとそれがすぐわかるので、結局日本人のヘタだけが目につく」だけじゃないか、と疑っている。