けっこういい歳になって得た知見を報告する。
社会人になってみんな働くんだけど「お金(多くは生活費)を稼ぐ」ってのを「お金を儲ける」ってまったく別のことだよ。
年収いくらくらいとかいう話がWebには山盛りだけど、このふたつの違いを特に若い人は意識した方がいいと思う。
「生活費を稼ぐ」方針で普通に稼げるのは職種依存なんだけど基本は200~350万がいいところだよ。もちろん、その路線で開始しても収入を拡大する方法はある。ひとつは残業(+年収100とかありうる)。もうひとつは出世(終身雇用では一般的だったけど、今後はどうかなあ)。つまり、「生活費を稼ぐ」方向での天井は600~800程度だよ。それも、おそらく今後の社会だとどんどん低くなると思う。
「生活費」ってのは最低限のハードルがある。死なない程度の衣食住。それがあればOK。もちろんそれぞれの質を求めればどんどん必要な金額は上がっていくけど、前述の最低限が防衛ラインとして存在する。また一方天井も存在する。満足する生活を一生おくれる貯金(例えば1億から3億)が出来れば、それはある種のゴールだ。それを意識するしせざるを得ないのが「生活費を稼ぐ」ことだとおもう。
一方で「お金を儲ける」ってまったく別のことだ。これはどっちかっていうと、スコアアタックに近い。
「生活費を稼ぐ」にゴールが有るのに比べて「お金を儲ける」にゴールはない。テトリス的なスコアアタックなんだから「多ければ多いほどよい」。投資家とかが大金を得てもやめないのは、そういうゲームをやってるからで、「生活費を稼ぐ」じゃないからだ。
「お金を儲ける」は逆に生活を意識するとうまくいかないように思う。お金が、自分の生活に何か(おいしい食事でも新しいゲームでも旅行でも)を招く引換券である、という意識だとうまくいかない。もっと純粋にゲームのスコアだとかカジノコインだと思ってないと失敗する。その上で手持ちのリソースで出力を大きくするにはどうすればいいのかってのを延々とやるのが「お金を儲ける」だ。生活を価値観とする「市井」からすると、それって(ある種の)人格破綻だと言われかねない。
このふたつを「年収」っていうひとつのメーターで考えるのは無理があるしそれ以上に不幸だよ。ただ単に「生活費」だったらその金額は300万程度だし(残業なく)普通の労働すればそんなものがせいぜいだと思う。300万の生活費を稼ぐ市井が残業したり出世したりすればそのマインドセットのまま600万とかまでいける。でも、その先は無理だ。クラスチェンジが必要だ。また今のご時世、出世も望めないしリストラもあるので、余計に「お金を稼ぐ」と「お金を儲ける」の間には断絶が生まれる。両者を同じ物事の延長線上のことだととらえるのは、誤解のもとだよ。