この自殺と殺人は、目の前で果物ナイフを振り回され、脅された私がショック状態で真夜中に病院に連れて行かれたところから始まっている。そこで診察を受けてレントゲンをとって急性の出血などが無い事が確かめられた後に、私はまたその女が脅すために戻ってくると危ないという事で、車の中で明るくなるまで過ごす事になった。
そして部屋に戻るとそこはすさまじい状態に荒らされていて、私は更にショックを受け、男はその凄まじい状態に荒らされた部屋に立ちつくし、私を殺して自殺するという行動に出ることになった。その時の男は、警察を呼んでという私の言葉に一切耳を貸す事はなく、どれだけ警察を呼んでと叫んでも黙々と進めていたのは死ぬための準備だけだった。私は絶望から、考える事を止めた。
激怒によって男の身勝手な理由による自殺、私を道連れにした死を逃れても、次にそこに現れたのはもっと惨たらしい状態だった。荒らされた部屋には次々と医学生達がやってきたのだ。女が住む事が出来ないほどに荒らしたその部屋は、その医学生達の破壊の結果だった。何人も何人も「知らなかったんだ。知っていたらそんな事に加担しなかった。」という事を言いに、医学生達が飛んできた。
ぼろぼろの状態になっている私を見せない為に外で話をしている男と彼らの話し声が聞こえていた。
彼らはみな「自分がしたのは部屋の破壊への加担」つまりは恐喝への加担である事を自覚していた。それが警察によって犯罪として調べられるものだという事も。その男が置かれていた状況を知らなかったという事でそれを逃れる事は不可能だという事も。保身。医学生として自分が居続ける為の。確かに彼らが「巻き込まれた」のは事実だったのだけれど。
そして彼らの言葉とその凄まじい部屋の荒らし方は、彼らが自分が正しい事をしていると考えていた事を私に教えた。つまりは私が大切だと思っていた男は、なんとか恐喝されている状況から助け出したいと願った男は、周りから親子ほど年齢が離れている女と夫婦気取りで長年暮らしている男として見られていたのだと、私ははっきりその時に理解した。
男は、私が刃物を突きつけられて脅された事も、その後に自分が引き起こした惨たらしい自殺未遂・殺人未遂の状況も、その医学生達が女に加担させられた犯罪行為を表に出さない為に、みな隠蔽してしまった。そこにいた医学生達が学校から処分を受ける事を避ける為に。そう医学生はとても大切。踏みつけて構わないのは力のない側。
本当に文字通り飛んできた医学生達を、私はみな覚えている。彼らが凄まじい状態に荒らした部屋によって、私は男に連れまわされ実際に「死ぬ」状況を何度も体験させられたのだから。ガラス戸ごしに見た必死に話している彼らの顔と名前を、今でも覚えている。
もちろん、自分達の犯罪行為によって目の前の男が自殺と殺人を決行していた事を、神様が見ていてくださった事で私がそれを生き延びる事が出来た事を、彼らは知らなかっただろう。
私は今、そこで起きた事をこうして書くことにする。あなた達のした事が、私を殺す為の行動を男にとらせたのですよ、と。
相談電話の警察官の様に、「あなたは生きているのだから、殺されてはいない」とは言わないでください。近しい人間に、好き勝手な理屈で突然殺されてしまう状態に置かれた私は、その後生きる事が出来なかったから。自分達がした事が何だったのか、私はそこにいた医学生、今は医者として働いているだろう男達にはっきり見てほしいと思っています。私が殺されるきっかけになった事件を引き起こした人間として。もちろん私にはそんな力はないので、機会が得られる事は無いでしょうが。