iPhone6sにしてから1週間弱が経過したので、そろそろ3DTouchの感想を語らせていただく。結論から言ってしまうと「ものすごく人を選ぶ」機能であった。
まず、思っていたよりも力強く「グッ」と押し込まなければならず、お手軽とは言いにくい点を指摘しなくてはらない。感度設定は可能であるが、たったの3段階である。1番弱い設定にしても、かなり意識的に「グッ」と押し込まなければならない。フリックやスワイプにはそんな思考は必要なく、無意識に操作できる。しかし、3DTouchではそれができないのだ。マウスの右クリックの方がはるかに直感的である。(慣れの問題かもしれない)
そして、「グッしよう」と思考してから「グッ」したにもかかわらず、アップルの標準アプリですら、機能しないアプリが多すぎる。更に悪いことに、実際に「グッ」してみるまで、「グッ」が機能するのかどうか、全くわからない。スワイプやフリックの場合、アプリのUIで対応しているのか、直感的にわかる。その期待を裏切るアプリはほとんど存在しない。しかし「グッ」は期待を裏切るアプリが大半で、しかも一瞬の思考が必要な操作だけに、裏切られたときのがっかり感もそれなりにある。今では「グッ」できると覚えている画面以外では全く「グッ」しなくなってしまった。
更に問題をややこしくしているのは、「グッ」と「グググググッ」を使い分けなければならないという現実である。例外もあるが、多くの場合、「グッ」すると詳細がプレビューされ、「グググググッ」すると実際に画面が切りかわる。つまりプレビューでとどめておきたければ「グググググッ」と判定されるまでに指を離さなければならない。「グッ」と「グググググッ」の違いは感覚的に覚えねばならず、もはやアクションゲームの操作に近い。
「グググググッ」もマウスのダブルクリックよりも非直感的である。(慣れの問題かもしれない)ダブルクリックは、その人のペースで2回押しさえすれば反応するので、速い人も遅い人も問題ない。しかし「グググググッ」は「あらかじめアップルが設定した時間だけ押し続ける」必要がある。速い人からすればじれったいし、遅い人からすれば早すぎて使いにくいのである。
勘違いしてはいけないのは「グッ」するのが速い操作ではないことである。「グッ」するメリットは「グググググッ」しなければキャンセルできる、点に集約されている。写真アプリなら、「グッ」して写真をプレビューして、「グググググッ」して切り替える、はナンセンスの極みである。普通にタップすればすぐに切り替わるのであるから。タップの方がはるかに速くて簡単で直感的で確実。それでも「グッ」するのは、実は見たくない写真だった場合、「グググググッ」する前に指を離せばキャンセルされて元に戻る。そのため、指を画面左上まで移動して戻るを押さなくて済む、のが「グッ」及び「グググググッ」の最大のメリットである。
まとめると「「グッ」できる画面と「グググググッ」できる画面を記憶でき、今用意されている感度がジャストフィットし、アクションゲームに近い操作を無意識にできる人」にとっては3DTouchは神機能だと思う。でも、そうでない人にとっては無理に使うとかえってストレスがたまる機能である。フリックやスワイプは、操作にアナログ感があり、動かすのが速ければ速く、遅ければ遅く反応するが、どちらでも操作に問題はない。しかし3DTouchは、速ければ失敗し、遅ければ失敗する、デジタル的な操作である。慣れるまでは苦痛で、ずっと慣れられない人もいるであろう。
3DTouchは個人に合わせたチューニングが絶対に必要である。3段階ではその人にピッタリの感覚には絶対にならない。「グッ」と「グググググッ」の両方が無断階で調整できるようになるべきである。更に「「グッ」と「グググググッ」の両方の調整アプリ」を用意して、初起動時に調整させるようにするべきである。更に「グッ」は有効だが「グググググッ」は無効になる設定もできるようにするべきである。純粋にプレビュー専用の機能になるので、「グググググッ」になる前にキャンセルするのが苦手な人でも扱いやすくなる。
念のために補足しておく。iPhone6sはすばらしい端末であった。iPhone5sからの買い替えであるが、大きさにはすぐに慣れた。もう以前のサイズには戻れないね。何をするのもとても速く、特にアプリの起動と切り替えが快適。メモリ2 GBが効いていると思う。iPhone6sで注目するべきは4K撮影じゃなくて3DTouch、という記事をたくさん見かけるが、4K撮影なんて誰も気にしていない。注目するべきは間違いなくメモリ2 GBである。実際に使えば、3DTouchなんかよりも2 GBに有り難みを感じる。