2023-08-23

WEB画像解像度は72dpiに設定すべきという幻想は捨てろ

Twitter映像畑の人による「映像系に使用する画像で72dpi以上は必要がなく、事前に整理するのが当然なんだけど350dpiのままで作業する人がいた。基本が抜けてるなぁ」といったツイートを偶然目にしてしまい、以下これに関してつらつらと書いていく。


結論から書くと、WEB画像解像度設定は72dpiだろうが350dpiだろうがなんでもよく、縦と横のピクセル数だけ見ていればよい。


DPIとは?>

印刷解像度設定」といったメタデータと考えてもらって構わない。

簡単説明すると、DPIとは、その画像をどれだけのキレイさで印刷するかという品質設定の単位である

dot per inchの略であり、1インチにどれだけドットを敷き詰めるかをこの数値で設定する。

72dpiは1インチあたりに72ドット、350dpiは1インチあたり350ドットドットの数が多いほど密度が上がるので鮮明に見える。

要はパソコンディスプレイ解像度と同じ。同じピクセル数の画像を72dpiの設定で印刷しようとすると大きく荒く出て、350dpiの設定で印刷すると小さくキレイに出る。

FHDの動画を27インチFHDモニターに等倍で再生すると全画面で再生されるが、27インチ4Kモニター場合、画質は良いが拡大しないと小さいウインドウ内で再生されるイメージとおおよその構造は一緒。

一般印刷用の画像データは350dpiにするのが理想とされている。

そのデータ映像制作使用する際に、解像度設定をそのままにしている人に対する嘆きが冒頭のツイートにつながったのだろう。


WEB画像におけるDPIPPI)>

DPIとは「印刷解像度設定」のことなので、デジタルで表示・使用する場合、この数値は関係がない。

というか、そもそもソフト側で参照されている様子がない。

まりDPIはどうでもよいのだ。

重要なのはピクセル数だ。1920×1080pxの画像があったとする。

解像度の設定を350から72dpiに変更したとする。

デジタル上でなにが変わるか。

なにも変わらないのである

画像の見た目も、容量も変わらない。カンバスサイズも変わらない。

実際に解像度の数値を変更した画像ブラウザで読み込んでみたところ、表示されるものは全て一様であった。

まり全く変わらないのである

なお、Photoshop上で解像度の数値を変更する際、設定によっては解像度の数値の増減に合わせて縦横のピクセル数も増えたり減ったり(拡大縮小)するので、それによって画像サイズが変わりはする。

ただそれはピクセル数の増減によってサイズが増減するということなので、例えば350dpiを72dpiにしたか画像が小さくなった、とは言えない。


ちなみにディスプレイ上ではDPIではなくPPIと呼ぶ。なぜならばDotではなくPixelから。どうでもいい話ではあるが。




そもそもディスプレイ解像度は>

72ppiじゃないよね。iPadは264ppiiPhoneは460ppiのものもあるよね。

モニターは、72ppi!」というのはあまりにいにしえの知識と言える。

さらに言うと、ppiは画面解像度と画面の物理的なサイズによって算出される。だってper inchだもん。

例えば4kモニターでも31インチなら142ppi20インチなら220ppiだ。同じ数ピクセルが詰まってるなら画面が小さい方が細かいでしょ。

というか、逆に言えば80インチ場合4Kと言ったって55ppiであるフルHDは28ppiだ。

ね、ppiのことを考えるのがどれだけ無駄か分かるでしょ。


映像制作においては>

最終的にエンコードする画面解像度、つまりフルHDなのか4Kなのかなどによって必要な素材のピクセル数は決まってくる。

からデカすぎる画像リサイズせよというのは分かる。

しかしそこにdpiだのppiだのといった数値はもはや関係がない。ピクセル数を削れという話なのだから

したがって、繰り返しになるがピクセル数だけ見ていればよい。

映像制作中においても、素材画像解像度設定が350だろうが72だろうが、画質になんの違いも出ない。

制作後も最終的にはエンコードをするので元素画像解像度設定はガチマジで関係がない。

素材データの受け渡しを考えても画像容量も変わらないので本当に意味がない。


まりWEB画像解像度設定は350dpiだろうが72dpiだろうがなんでもよく、縦と横のピクセル数だけ見ていればよい。

そして解像度設定の数値は画像の素性に一切の影響を与えない。

画像解像度設定の数値がバラバラだと先方にナメられるから、とかはガチで知らん。しょーもないと思う。

なんというか、基本を知らないなあと言っている側が昔の作法からアップデートできていないだけでしたっていうのを見て色々と考えてしまったものである

(もしなにか「いや違う!」といった指摘があったらください。)




  • 以下余談---------

<※IllustratorPhotoshopなどにおいては>

これらのソフト場合解像度設定の異なる同じ画像ドキュメント内に配置した場合、配置された画像の大きさ(縦横サイズ)に違いが出る。

なぜならばこれらは印刷を前提としたソフトであり、また、ドキュメント自体印刷解像度の設定がなされているかである





個人のこだわりの場合

なんとなくWEB画像場合は72にしないと気持ちが悪い、といった場合否定しないが、それはあくま個人のこだわりなのでそうしない人を基本が抜けてるとかう〜んとか言うのはやめた方がいいと思いました。

イラレ上で画像を拡大縮小してるのに元画像解像度を350dpiにするのにこだわるような意味のなさ。拡大縮小してる時点で解像度は変わってるし、印刷所でRIPときに均されるんだからさ※後述)


デジタルはわかった。結局印刷場合ってどうすればいいの?>

A4/350dpi必要ピクセル数が約W2890H4090pxなのでそれくらいで良いのでは。

ちなみになぜ350dpiが良いとされているかというと、これ以上解像度を増やしても人間の目にはあまり区別がつかないとされていたり、印刷機の性能の事情などによってそうなっている。

ポスターなどは150〜200dpi程度あれば十分とされる。デカものは近くで見ないし多少荒くて良いのだ。

抱き枕タペストリーなどもそれくらい。近くで見るものだけど、布自体の目が粗いのでデータ解像度を上げてもあまり意味がない。滲むし。

(布の種類にはよるが……)

ポスターも先述の通り解像度自体落とすので相対的ピクセル数は変わらずA1/150dpi場合約W3500H4960pxなので上記より少し増える程度。

抱き枕カバーのようにすごく縦長とかでもない限りざっくり縦横5000pxあればもう十分なのではと思う。


というか、素人場合印刷場合ピクセル数だけ見ていれば良いと思う。

実際に印刷されるデータ印刷所でRIPリップリッピング)といって、印刷データに変換されるんだけど、そのとき印刷解像度はあらかじめ印刷所で設定された数値に変換されることがほとんどだろう。

だって必要印刷解像度って印刷機の線数の2倍って言うし。ほらまた知らない単語が出てきた。入稿先の印刷機の線数なんて把握せずに解像度設定してるでしょ。普通は175lpiなんだって。LPI。Line per inchね。その2倍。だから350なんだね。知らないでしょ。だからいいんだよ。良きようにやってくれるんだから

A4なのかB5なのかとにかく出力サイズがわかっていて、それに十分なピクセル数が足りていれば良い。あと塗り足しね。

変に知識をつけて画像解像度350dpiしました! 仕上がりサイズはA4です!っていって縦横350pxみたいな画像が配置してあるデータ送られてきてもガビガビに印刷されるだけだよ。大事なのはピクセル数。覚えてこ。

  • なんとなく350の方が画質良い気がしてそうしたわ。変わらんのか。

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