2018-11-08

初めて出会い系サイト登録した時の思い出

20歳だった。

彼女が出来ず、周りは童貞卒業していく。

孤独だった。周りに一番人が多い時期だっただけに、より一層孤独だった。

 

彼女を作るのは難しいが、童貞の捨てるのは簡単だ。

お金を払えばいい。所謂プロ」が所属するお風呂屋お金を払い、そして「プロ」と(結果的金銭が発生するが)恋愛の末、童貞を捨てればいい。

20歳になるとそういうお風呂屋童貞を捨てた人も居た。自分もそうなればいい。

しかし、そうはいかない。童貞を捨てるというのは見栄なのだ。見栄を貼るのに妥協はいらない。と言った所で、彼女ができるわけでもない。

そこで考えたのが出会い系だった。当時はまだスマホも普及していない時代だが、その頃からワ○ワ○メ○ルとかはあったような気がする。

ネット検索をし、「サクラが少なく、えっちな事にしか興味がない女性が多い」という謎の情報が書いてあるブログを見つけ、早速登録したのだ。(ご存知の通りだが、所謂アフィリエイトサイトなのでそのサイトサクラ塗れで、女性登録フォームがまずなかった。)

※ちなみに登録したところは「ワ○ワ○メ○ル」ではない。

 

プロフィールはしっかり書きましょうと言われ、

名前:増っち

住まい神奈川県

年齢:20歳

タバコ:吸わない

お酒:飲まない

趣味カフェ巡り

一言プロフィール:湘南の風の増っちです(嘘)カフェ巡りが好きで鎌倉の○○ってカフェに出没します。

みたいな事を書いた。今思うと意識の高さが垣間見えるし、本当によくそカフェはいってたのでクッソ危ない(逆に言うと、そのカフェぐらいしか行かない)。サクラサイトでよかったな。 

 

するといきなりメールがくる。

相手は19歳のJDプロフィール写真がなぜか下着姿で結構スレンダーゆるふわヘアでどストライクだ。

はじめまして、増っちさん。今晩にでもあえませんか?もう我慢できません。」

おいおい、とんだ淫乱野郎が来たみたいだぜ。プロフィールを見ると、踊り狂うスリーサイズ、88-52-74!可愛い顔してバスト88!?これはたまりませんな!

返信をする。

はじめましてめぐみんさん。自分大丈夫ですよ。どこに住んでいますか?自分鎌倉市です。」(初回ポイント500ポイントのうち50ポイントが削られる。)

するとすぐに返信がくる。

「私も鎌倉市です!すぐに会えそうですね~。早速ですが、ポイントもったいないのでメールしましょう!メールアドレス送ってください。」

おほー、今日俺はバスト88のゆるふわJD童貞卒業する!すまんなお前ら!俺はバスト88のゆるふわJD初体験じゃよ!

「わかりました。私のメールアドレスはmasutti○○@d○c○m○.ne.jpです。」

送信をしようとする。

すると、エラーが表示され、こう映る

メールアドレスの送信には500pt必要です。 450-500=50pt 50pt足りません! ポ イ ン ト 購 入

なんてことだ、最初メールアドレスを送っておけばよかったのだ。仕方がないのでポイント購入をしようとするが…

なんと、ポイント購入が5000円(500pt)からしか出来ない。支払いはクレカか、ウェブマネー…。クレカは持ってないし、コンビニは徒歩10分の距離だ…。

しばらくするとめぐみんからメールが来る。

「あ、いきなりメアド交換は引いちゃいましたか?ごめんなさい>< 私も早くえっちしたいので別の人見つけますね…」

ま、まて!違う!19歳バスト88のめぐみん!まって!という思いで返信を書く

すみません、いまポイント書いに行ってます!もうちょっと待ってください!10分ぐらいで買ってきます。」

部屋から飛び出してコンビニ走る。

「ああ、増っち様。」うめくような声が、風と共に聞えた。

「誰だ!」増っちは走りながら訪ねた。

あなた不安でございますあなたの心の良心でございます。駄目でございます。走るのをやめてください。今月5000円を使うと明日から実家から送られてくる米だけで過ごさねばなりません。」

「いや、米だけで生きていける。」

「やめて下さい。走るのは、やめて下さい。いまはご自分生活大事です。童貞を捨てるチャンスはもっと余裕があるときで良いではありませんか。」

「そんなことはない、だから走るのだ。後先の問題でないのだ。童貞問題でないのだ。私は、なんだか、もっと柔らかくて大きいものの為に走っているのだ。ついて来い! 俺の良心。」

「ああ、あなたは気が狂ったか。それでは、うんと走るがいい。ひょっとしたら、サクラじゃないかもしれない。走るがいい。」

増っちは走った。増っちの頭は、からっぽだ。何一つ考えていない。ただ、わけのわからぬ大きな力にひきずられて走った。

コンビニにつくや否やウェブマネーを買いたい旨を店員に告げ5000円分を発行してもらう。

そして、韋駄天のごとく、部屋に戻り、ウェブマネーの番号を入力し、500ptを得たのだ。

めぐみんさん、遅くなりました。私のメールアドレスです。masutti○○@d○c○m○.ne.jp

増っちは待つ。どれぐらい待っただろうか。携帯が今にでも鳴り出すんじゃないかバクバクしていた。

そして…

 

「ユーガッタメール…(ピロリン)」

 

来た!

急いで確認する。19歳バスト88!今晩だ!今晩が勝負だ!

 

しかし、届いたメールは期待したものではなかった。

「ご入会完了のお知らせ」

「入会手続き完了のお知らせ」

「お支払い期限が近づいています

「○○動画使用料について」

人妻がお待ちしております

 

くるわ、くるわ迷惑メールの嵐。

旋風。

トルネード。

一瞬にして携帯電池は50%を切る。

騙されたのだ。サクラだったのだ。

5000円騙し取られた上にメールアドレスを売られる。

どんな罪を犯せばこんなひどい罰を受けるんだ。俺はただ19歳バスト88とえっちがしたかっただけなのに。

俺はそっと涙を流し、来るメール来るメールキャンセルし続けて、そしてド○モのメニューからメールアドレスを変更したのだった。

 

今となれば笑い話だが、その後は18日間、米と海苔だけで過ごした。

バイト先の賄いだけがまともな飯だった。

あのときほど、人の何気ない優しさに触れたことはなかったね。

 

人は天の邪鬼だ。

周りに人が多いときほど、孤独を感じ、

優しさを当たり前に受けているときほど、優しさを軽視する。

孤独なほど、人一人の存在感謝をし、悪意に傷ついたときほど、当たり前の優しさを再確認する。

きっと、邪智暴虐の限りを尽くす王もそうだったのだ。

でも本当に失ってからでは遅い。

普段からその当たり前を感じ、周りに感謝を伝えることこそが、本当に大切ではないのだろうか。

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