2016-12-30

どうしてアニメ制作現場お金が無いのか

12月25日の夜に『山本寛岡田斗司夫公開トークイベント~僕たちのクリスマスナイト~』が開かれた。

ここでアニメ制作現場お金が不足している訳を、山本寛さんが赤裸々に打ち明け、

岡田斗司夫さんがそれを解説されていたのだが、これが非常に興味深かった。

しばしば話題になるアニメーター低賃金問題アニメ業界のあり方そのものへの

重要な指摘だと感じ、ちゃんと理解たかったので流れがわかる程度に一部を書き起こしてみた。


山本寛岡田斗司夫公開トークイベント~僕たちのクリスマスナイト~』より

山本寛:

どれだけ敵にまわすんだろうっていうくらいの内容をしゃべりました今日の昼ね。

非常に図式が簡単で、すごくシンプルにいうと、お金は上の方であるんですよ。

これが現場に落ちてこない。なんでってことなんですね。

もう直で落とすしかいねっていうのが結論ですね。

そこになるだけ中間マージンを抜く的な、暴論ですけど…

もちろんそこはちゃんと機能しているしアニメを作るのに今なくてはならない機能にはなっているんですけども、

やっぱり減って減って減って現場に降りてきたときに、これだけかよって自体をなくすためにはBtoCではないですけど、直接行くしかない。


(中略)


山本:

大規模なテレビアニメであるとか、待ったなしの続き物のアニメを作るためには必要システムではあると思うんですね。


(中略)


岡田斗司夫:

アニメ業界に金は無い、金は無いって言っても、テレビ局の奴は儲けてる、広告代理店が潰れたなんて話は聞いたことがない。

なので実は、潰れた潰れたといわれてるのは、末端のスタジオ現場であればあるほど潰れている。

なのでこの上のおじさんたちにいなくなっていただこうって話?


山本:

まあ、言いましょう。

名指しで批判するつもりはないんで、製作委員会というスキームのもの問題があると思ってます

ここにメスを入れないとダメだということです。

例えばお金はいくらでもある。

例えば中国配信業者10億出しますよと言っている。

でも、製作委員会がじゃあ10いただきますやったーにはならないじゃないですか

パーセンテージがあるじゃないですか。

製作委員会幹事会社が40%、50%握るためには、10億きてもらったら困るんですよ。

幹事会社出資額には限度があるじゃないですか。

40%の権利を得たい。

幹事会社権利を得たいけども4000万しか出せません。

ということは、予算総額は、1億で決まっちゃうんですこの瞬間に。

どれだけお金を出したい、10億でも20億でもこの作品のために出すよと言っても出せないんです。


岡田斗司夫:

これね、ホワイトボードに書いて説明したいんだけどもちょっと翻訳させてね。

えーっ、つまり10億あったら、劇場アニメのすごく良いのができるし、中国会社10億でも20億でも30億でも出そうと言ってる。

ところが、中国会社20億も30億も出してしまったら、中国会社出資100%アニメができてしまう。

なので、まるでそれがいけないこと、チャイナマネーの脅威みたいな言い方をしながら、

でもお金は欲しいからどういうことになるのかというと、製作委員会方式をとりたい奴らというのがいて、

結局それがレコード会社とか一部の会社がいつもいつもアニメ版権握ってるような会社が、

中心の版権の窓口やりたいとか、手数料取りたいって思ってるようなところがあって、このアニメ製作予算として2億以上かけちゃ困ると。

だってうちの会社4000万しか出せないんだから2億で4000万だったら、やっとこれで20%じゃん」と。

で、「20%以下にパーセンテージなったら俺の会社での立場なくなるよ。なので、このアニメ予算2億で。

えっ中国会社20億も出す? じゃあしょうがないな、その20億を10作品で割りましょう。」

というふうな形で作品10ぐらい作って個々の作品予算上限を2億ぐらいにとどめたり、1億に留めたり、数千万にとどめたりして、コントロール権を握ろうとしている。

それによって──


山本:

から本数が増えたんですよ


岡田:

から本数が増えた。あっ、俺の読みで良いの?


山本:

ご名答です


岡田:

やったー


山本:

そこに、前回言った通り、その10倍に増えた1本が10本になったものを受け止められる現場がないんです。

から作れないんです。だから落ちるんです。

簡単でしょ実は。


岡田:

まりアニメ出資したがってる会社は多いんだけども、

バジェットが上がりすぎると個々の、これまで日本出資をしてて、現場を仕切ってて、

で、アニメのそういう版権ビジネスから手を引きたくないオッサンたちが、バジェットの上限決めちゃってるから制作費が増えない。

横の方向の制作本数だけが増えちゃう

で、じゃあ、解決策としてはどうなのかというと、「このおじさんたちがいなくなって──


山本:いなくなればいいとまでは言いませんけども(苦笑)


岡田:

──中国出資者たちと直に繋がればいいんだあ」、とこないだ真木さんが岡田さん言っちゃだめだよと言いながら酒飲んでた(笑)


山本:

いっちゃったか(笑)

当分そういったいざこざの中では生きられないと思ったので、言っちゃおうと思ったんですけど。

あのー、やっぱりどこかでその製作委員会もう完全否定するつもりはないんですけども、

どこかでやっぱり意識の変革?個々の意識の変革を…

もうちょっとやっぱりお金を出さないと、良いものは作れないんじゃないかとか、もうちょっと作品一本一本を大事にしないとアニメは盛り上がらないんじゃないかという意識は持っています


このトークイベントの一部は、以下の動画から観ることができる。

アニメ業界に未来はあるのか?ヤマカンが今のアニメ業界の図式を説明 by EXIT エンターテイメント/動画 - ニコニコ動画

ヤマカンブログでのトークイベント後の補足

山本寛 - ゴールドラッシュ - Powered by LINE

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  • あのさぁ 解説系エントリかと思わせておいて書き起こしで力尽きてんじゃねーよ 要約と自身の感想までちゃんと入れろ

  • もしその理屈が正しいとすれば アニメの製作本数が現在ほど膨れ上がったのが2006年くらいだったと記憶しているから 製作委員会に中国の企業が名前を並べているアニメがその頃から爆...

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