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2015-09-19

デモはすでに劣化している

法案可決後のデモの様子。

https://vine.co/v/eUUhe1gilOP

非常に残念だ。

SEALDsの最大の功績は、これまでのデモの単調なリズム一新し、より高度で複雑な、知的ビートに変えたことだ。(主張内容に新規性ほとんどない)

しかしすでに劣化が始まっている。嘆かわしい。

5月の時点での「安倍は辞めろ」コールは16ビートであり、メロディーシュプレヒコール部分をそう呼ぶことにする)は16分の裏拍を使用した複雑なものだった。しかし、それがいまやほとんどのメロディーアクセントが拍の頭のみに限定された単調なリズムに堕してしまった。「安倍は辞めろ」も単に3拍子の頭打ちのみになっている。(上記リンク

より詳細に見てみよう。

まずは5月の時点でのビートがいかに高度であったか説明しなければいけない。

比較をするには、それ以前のリズムがいかに単調であったか説明必要だがダルいので省略)

https://youtu.be/jad6bXYAStU?t=3m51s 

 タムの4つ打ち。これは従来通りのリズムではあるが、他のリズムとの兼ね合いで4つ打ちキック役割果たしている。

そしてリムショットのような少し高い音が8分裏で入っている。これはオープンハイハットに相当する。

そしてスネアはさまざまなリズムが混在しているが、基本的には16分を奏でている。

この時点で、いわゆるダンサブルな4つ打ちリズム形成されている。

その上に、16分音符で(3、3、2)x2のリズムで(ア・ベ・ハ)(ヤ・メ・ロ)のメロディーが乗る。この3、3、2に16分裏拍が使用されており、これまでのデモにはない、非常に高度なビートになっている。高度すぎてメインボーカルマイクを持っている者)以外はビートに乗れておらず、2拍3連というよりは単純な3拍子のリズムになってしまっている。まあ仕方ないといえば仕方ない。やってみればわかるが、16分の裏拍をずっと続けるのはかなり体力がいる。

 しかし、意図としては非常に計算された複雑で高度なリズムなわけだ。そもそも打楽器複数リズムを分担していること自体が新しい。これはきっちりはまれば非常に強いグルーブを出しうる。そして、それは人の心を動かす。実際私は、つい鼻歌で「安倍は辞めろ」と歌ってしまっていたほどだ。(思想的には全く賛成していないにもかかわらず)

 ところが、法案可決後は先述のように単なる3拍子の頭打ちになってしまった。メインボーカルはまだ幾分16ビート意識しているようにも聞こえる。しかし、シュプレヒコールはもとより、タムのリズムが完全に3拍子だ。16ビートは雲散し霧消しかけている。

 たとえば東浩紀はそれを、念仏のようだ、日蓮宗お祭りリズムに似ている、と称する。

https://twitter.com/hazuma/status/644928241774428160

それも非常に的を射た意見で、基本的念仏、お経は3拍子なのだ

ナンイダー、も単純な3拍子だが、日蓮宗のナムミョウホウレンゲーキョウも6拍のビートを打ちながら唱えるわけだが、それは6/8拍子というよりは3/4拍子の8分打ちと言った方が近い。言葉の譜割りでいえば16分なので16ビートといっても良い。つまり念仏、お経の時点で、3拍子の16ビートというのは鎌倉時代からすでにあるリズムでそれほど新しいものではない。ただしすべてアクセントは頭にある。裏拍が強調されるようなことはない。裏拍強調はずっと続けるのは体力がいるので、繰り返し唱え続ける念仏、お経には適さない。

5月時点では、デモの他のシュプレヒコールも裏拍を多用していた。例えば、「民主主義ってなんだ、これだ」の掛け合いも最初の入りは8分の裏拍だ。そこがグルーブ感を出していた。しかし、可決後のシュプレヒコールはほぼすべてでアクセントは頭。連日で疲れて体力が落ちているから、という同情の余地はあるが、結局のところ、デモリズム日蓮宗のお経レベルにまで一気に後退してしまったわけだ。

 まあ、お経のリズムが一概にも悪いとも言えない。現に比較的複雑なリズムのお経を持つ日蓮宗、その系譜に属する創価学会公明党を通じて政治的な力を持っている。というか与党だ。そして法案には賛成。

 それと同じリズムではこれまでと同じ、勝てない。

 いや、あれは3拍子頭打ちではない。16ビートを打ちに秘めた2拍3連であり、より進化しているのだ。という意見もあるかもしれない。

 そうかもしれない。そうであってほしい。心からそう思う。

 頑張れSEALDs

 
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