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2019-07-17

私が猫を飼いたくない理由

夫が猫を飼いたいと言い始めて、もう2年は経つ。

毎晩Youtubeで猫の動画再生しては「いいなー」「かわいいなー」「欲しいなー」「飼おうよー」と呟く夫に、私は都度「飼わないよ〜」と返していた。

2ヶ月前、そんなに毎日欠かさず言うなら現実を知ってもらおうと思い、飼うにあたっての大凡費用必要環境を調べて譲渡サイトを見せてみた。夫は「そんな本気で言ってるわけでは…」と真顔になった。

どうやら夫の言う「猫欲しい」は、「韓国行きたい」とか「5000兆円欲しい」みたいなものらしく、本気でそうは思っていないが口に出すことでなんとなく心が癒される其れのようだった。

それから夫は3日ほど猫を飼いたい発言はしなかったものの、4日後にはまた元気よく「リビングもふもふしたい」「一緒にお布団で寝たい」「なんで飼っちゃだめなの?」「猫カフェはやだー」が始まり、私はまた「飼わないよ」botになった。

わかる。頭ではわかる。私もそんな発言をすることがある。「今から温泉行きたい」とか「人のお金焼肉が食べたい」とか。でも私には、「猫を飼いたい」だけはなんか素直に「わかる~」と返せない理由がある。

物心ついたとき、既に私の家には猫がいた。

チンチラシルバーペルシャホワイトミックスで、白くてふわふわで目つきの悪い猫だった。架空スポーツ青年名前が付いていた。

猫はお世辞にも人懐っこいとは言えなかった。客人にすぐ威嚇し、撫でようとする手に噛み付きにかかる気性の荒い奴だった。

Youtubeでよく見るような、飼い主に擦り寄り甘えて喉を鳴らすタイプでは決してなく、いつもひとりで床に寝そべり、誰かが近づくとスッと離れた。母が無理やり抱き上げると蛇のように身体をくねらせて脱走した。

はいつも少し離れたところで私を見ていた。私が部屋を移動すると、少ししてから同じ部屋に入ってきて隅でまた私を監視した。

初代プレイステーションが好きで、よく上に座ってプレイ中の私を監視した。気が済むとOPENボタン踏み台にして降りた。それでよくゲームを中断させれた。

小学校から帰るとだるそうに玄関先まで歩いてきて、私を一瞥するとまたリビングに戻り、寝始めるような奴だった。

猫はやがておむつをし始め、口臭がひどくなり目やにを垂れ流しながら斜めに歩くようになった。フローリングの床で歩くと滑って負担がかかる。踏ん張る力が無くなった猫に、小さなさな靴下を履かせた。

母は献身的に世話をしたが、それでも猫は甘えた声を出したりしなかった。私たちが撫でようとすると嫌な顔をした。(猫にも表情はある)触られるのをとても嫌う猫だったので、天寿を全うする瞬間も私たちは彼を抱かなかった。

それから、はじめて私は猫を抱いた。まだ少し温かかった。涙も出なかった。結局猫が生きている間、私は一度も彼をちゃんと撫でなかったし抱っこもしなかった。

猫は一度も私を攻撃してこなかった。

人間と同じように、猫にも色々いる。そして歳をとっていずれ死ぬ

どの猫を飼っても、大変さはつきまとう。でも、その大変さを癒してくれる「可愛げ」を持ち合わせている子と、いない子がいる。それでいい。YouTubeの猫のように、寄り添って甘えてくれるのが猫の全てではない。でもこれを猫を飼ったことが無い人に正確に理解して貰うことは不可能に近い。

猫が死んだら悲しい。だから私は猫を飼うことができない。

あの無愛想な顔を思い浮かべて、私は今日も「飼わないよ〜」と夫に言い聞かせる。

 
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