何日か前に「井戸を埋めるときにパイプを通しておかないと祟りが起こる」みたいなオカルトまとめがちょっと話題になってたけど、それに関連して今の仕事で悩んでいることがある。
リフォームの会社に勤めているんだが、やや高齢のお客さんが「電磁波有害説」を最近信じ始めてしまったようで、オール電化の予定だったが急遽ガスに変更したり、炊飯器もガス炊飯器にしたいとかの変更がでた。
今のところ変更自体は別にいいんだけど、この前打ち合わせにお家に行ったら珍妙な機械(説明が難しいんだけどでっかい円錐形の金属が上下についてるオブジェみたいなやつから線が出ていて、外付けハードディスクみたいな白い四角い箱に繋がってる)が置いてあって、嫌な予感がして調べたらやっぱり高価な電磁波対策機器だった。
そこのホームページには要領を得ない説明と、電磁場測定器を使っても変化が無いことへの言い訳が赤文字で書かれているようなもうカスッカスの詐欺商品だ。
で、最近また壁に電線を埋め込まないで欲しい(これは普通に無理)とか、コンセント全部にアースを付けてほしいとかのリクエストが増えてきた。
ちょっとずつコストが上がるような要望が出るにつれ、自分が詐欺に加担しているような嫌な気分になる(実際、工事費が上がれば比例して儲けも増えるわけだし)
でも風水に従って変な位置にトイレ付けて余計に工事費がかかるくらいのことなら普通にあるわけで、それと何が違うのか?それで施主が満足するなら別にいいじゃないか。とも思う。
俺はべつに電磁波の専門家でもないし、お客さんを安心させられるような化学的に正しい説明も出来ない。
そんな中途半端な人間がお客さんの信心を中途半端に否定しても悲劇しか起きないだろうということもわかっている。
でも同時に目の前で明らかな詐欺に引っかかろうとしている人を放っておくのは人倫に悖るとも思う。
もし騙されているのが自分の親なら徹底的に調べて言葉を尽くして説明して止めると思う。
どうしたらいいだろう。いや、どうすることも出来ないんだけど。
元々電磁波有害説にハマってる人として出会っていたらこんなに葛藤しなかったと思う。
知り合ってから徐々にハマり始めたのを目撃しているからこんなに嫌な気持ちになるんだな。
底なし沼に沈んて行く人を黙ってみているような気分だ。