ありがたいことに、中高生時代の友人と今でも定期的にオンラインで飲む。主に私が誘っているので、私が誘うのをやめたらこのクラスタは解散してしまうのではないかと幾分心配しているのだが、それとは別の話だ。誰しも年齢を重ねるにつれて政治的立場がどんどん離れていく。右もいれば左もいる。だから、場の空気が悪くなるのを防ぐよう気を使うことになる。
例えばある友人は憲法改正論者で自民党支持、反マスコミである。なるほど今のメディアには改善の余地があるが、陰謀論に片足を突っ込んでいる話を聞くのは幾分つらい。とはいえ、近況をじっくり聞いていると転職先ではうまくやっており、仕事で知り合った相手とうまい酒の話をしているそうだ。それを聞くと、無職歴の長かった友人を知っている身としてはほっとする。
別の友人もやっぱりリベラルをツイッターで常習的に叩くようになってしまった。最初は面白おかしいヲチ対象をリツイートしてツッコミを入れるというスタイルだったのだが、五年十年と経過するうちに本気で相手を人間扱いしなくなってしまった。暴力的で常軌を逸した発言をするアカウントは目に入れないほうがいいと忠告したのだが、聞き入れてはもらえなかったのが無念である。そのせいだろうか、他の旧友からも距離を置かれつつあるらしい。
このままでは友人が孤立するのではないかと心配になり、ときどき飲みに誘うのだが、話を聞いていると比較的まともに見える。たまたま見つけた成人向け画像RT垢でも礼儀正しい。それどころか、自分の知らないところで共通の友人と映画を見に行っていたらしい。それを聞いて、何も自分が友人の面倒をそこまで見ることはないんだよな、と安心した。ツイッターだけの人格が本人ではなく、オフラインだけの姿も本人ではない。人間はもう少し総合的で複雑な総体らしい。
ところで政治ネタで場が荒れそうになった場合は、右にも左にもある程度笑ってもらえる政治こぼれ話を披露してから話題を切り替えている。私は友人の政治談議を聞きたいのではなく、近況を知りたいのである。
アニオタの友人しかいない俺からしたら、そんな風に政治談議できるのがうらやましいな ギスギスするのは勘弁だけど