2020-03-21

商店の倅だった者だが

子供時分に商店の倅だった者だが、コロナ騒ぎを見ていて、またいくつかの店が飛ぶ

と思うと胸が痛い。こういうことになると、だいたいギリギリでやってたところが、

背中を押されて、飛ぶんだ。記憶に残っているのは、

・徐々に店頭から品物が消えていった洋品店

卸との間に支払いが滞ったのか、棚がどんどんスカスカになっていった。主人は

確か脱サラした細身の男で、東京六大学を出たとかで、田舎にしてはしゃれた柄物

ブラウスとか扱っていたが、最後空っぽガラスケースに囲まれて、家賃

払えなくなっても、店の真ん中の椅子に座り込んで、立ち退こうとしなかった。

なんか最後、何人かスーツ着た男の人が来て、連れていったそうだ。

・手を広げて夜逃げした贈答品店

中元歳暮婚礼などの進物を扱う店で、郊外ロードサイドにも店を出すなどして

羽振りが良かった。倅が小学校同級生だったので、家に呼ばれてよく遊んだ

おやつに皿に乗った紅茶が出て、ブルボンとかの透明な袋に入ったお菓子が添えて

あるのが衝撃だった。ある日突然店が閉まってスッカラカンになった。親父に聞くと

手を広げすぎて、以前から経営は良くなかったらしい。自慢のキャラクター付きの

自転車が店の前に放置されていたのが生々しく、記憶に残っている。学校の噂で

大阪の方に行ったと聞いた。

・盛大に周囲に迷惑をかけて閉店した飲食

これはうちも迷惑を被ったので、よく覚えている。親父も、工事の代金を踏み倒されて

あの野郎と、怒りまくっていた。以前から、支払いが渋いことで商店連中の間では有名

だった。小さい娘とその弟がいて、店のカウンターの端っこで二人並んでよく勉強してた。

ある時、地元チンピラともめたのか、普通定食屋だったのにガラの悪い連中が入り

びたるようになった。そんで一気に客足が遠のいて、潰れた。問題は潰れる直前に取込み

詐欺みたいなことをやって逃げた。高価な食材機器家電などを馴染みの店に注文し、

届くと同時にドロンした。親父は大家と一緒にシャッターをこじ開けてなかに入ったが、

めぼしいものは持ち去られた後で、残っていた子供目覚まし時計を持って帰って

きた。その時計は夜間のライト付きで、高校まで自分が目覚ましとして使っていた。

時代は違うけど、またこんなことが全国のあちこち個人商店で起きてるんだろうな。

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