2019-11-14

表現に対する法規制について論じる上で気をつけておきたいこと

自戒を込めて。

主張しているのは法規制か否か

「〇〇のような表現問題がある。だから法令規制すべきだ」

「〇〇のような表現問題がある。だから、そういう表現自然と減っていくといいなあ…」

この2つの意見は大きく異なる。

にもかかわらず、両者が区別されないまま、議論が進んで混乱が生じていることが多い。

意見を発信する側としては、法規制を主張しているかどうかを明確にすることが必要であり、意見を受け取る側としては、その確認必要である

また、もっと細かく言えば、以下の意見はいずれも異なる。

論点がどこにあるのか注意が必要である

・現行の法律上違法である

現行法違法ではないが、法規制すべきである

法規制すべきとまでは言わないが、自主規制されるのが望ましい

自分表現する側であれば、こういう表現はしない

・こういう表現が世の中から無くなったら良いなあ

なお、以下は、基本的法規制の是非が論じられていることを念頭においた記述である

単語定義

性的搾取」「性的消費」「まなざす」「萌え絵」「ヘイトスピーチ」などは、必ずしも概念が明確でない。

自説の中心に使う場合は、ある程度明確な定義をした上で使わないと議論が混乱する。

また、法学においては、日常用語に見えてもそれが独自意味合いを持ったテクニカルタームだったりすることがあるので注意が必要である

三段論法

三段論法論理の基本だ。

まずは丁寧に論理を追っていった方が自分論理の粗に気づけるし、相手意図が通じやすい。

また、相手意見いまいち理解できないときは、三段論法に分解して考えてみると良い。

隠れた前提が省略されているのが分かったら、どこに同意できないかが分かりやすくなったりする。

「ある表現法規制すべき」という意見であれば、多くの場合単純化すれば以下のようになるだろう。

①〇〇な表現法規制すべきである

②今回問題となっている表現は、〇〇な表現である

③今回問題となっている表現法規制すべきである

法規制合憲性について

法規制が主張されるとき、まず問題になるのはその合憲性(憲法適合性)だ。

どんなに素晴らしい法令だって違憲であれば無効である

表現に対する法規制合憲性は、原則、「①その法令表現の自由を制約し、かつ、②その制約が正当化できない」といえるか否かで決まる。

①については、保護範囲領域)と制約の有無の問題であり、②ではじめて、(違憲審査基準と呼ぶか否かはともかく)いかなる基準判断するかとその当てはめが問題となる。

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