数年前、好きだったアイドルが脱退を発表した。
それはSNSを騒がせ、友人たちからは心配のラインが続々と届いた。
アニメオタクの私だが、三次元のアイドルを推す事になった時は驚いたし、
奨学金を借りながらの苦学生という身分もあり茶の間から応援するようになっていった。
元々同担を探して交流をしていなかったのもあって茶の間になるのは容易だった。
音楽番組に出れば観ていたし、
ドラマに出れば録画して観ていた。
しかし、ある時脱退を発表した。
でも脱退したんだよ。
茶の間でもショックだったよ。
今一番応援してるかと言ったら、正直めちゃくちゃ応援しているアニメの方に財産を全フリしてる。
けれど、最初で最後の三次元のアイドルがアイドルを辞めるということが
どうしてもショックで、悲しくて、悔しくて、しばらくロスが続いた。
しかし、ある程度の沈黙期間を破って、芸能界に復帰するという報が入った。
もう後悔するまいと、茶の間じゃいられないと、
リリイベではそれはもう近くで見られた。
これ以上ないぐらい推しを間近で見た。
でも、ココロが遠かった。
なんとなくこっちのジャンルが好きなのかなぁとは脱退頃には思っていたが、
私が落ちた頃の推しとは表現するものもレベルも世界観も違っていた。
「もう推せない」とリリイベの会場を出た瞬間に痛感した。
私の場合はグループの中のアイドルとしての推しにココロ惹かれていたのだと。
嫌いになったわけではないとはっきり言える。
だけど、「音楽性の不一致」なんてありふれた陳腐な言葉の重みを知ってしまった。
物をすぐに処分できる質なら良かったのに、
そこに思い出が乗るとアルバムのように思えて手が伸びない。