「透明なゆりかご」をまた見た。
必ず見ているわけじゃないんだけど、金曜日の10時、ぼんやりしているとそのドラマは始まっていることが多い。
こないだ見たのは14歳の女の子が妊娠して、強いお母さんになる話だった。
こう書くと簡単だけど、生易しい話じゃなかった。
「エグいなあ」
今日も「ニュースが終わったなあ」と思っていたら、「透明なゆりかご」がまた始まった。
バリバリにデキる産婦人科を専門に頑張りたいと思ってる看護師さん。
頼りになるかっこいい看護師さんだ。
決めることは自分で決めてきた。
「妊娠は病気じゃないから」という言葉をおそらくわかって自分には使っている。患者さんには決して言わないだろうに。
覚悟もしていた。
出産ギリギリまでバリバリ働いていた看護師なんていっぱいいた、自分もおなじようにできるのだ。
彼女は夫に言われる。
「子供欲しいって決めたんでしょう?」
覚悟していたはずだった。
でも、子供が生まれたら夜勤はできなくなるよ?資格なんて取れないんじゃない?そんな試験勉強の時間があるの?
思ったようにいかないことはわかっているはずだ。だから考えて決めたのだ。決めたはずなのだ。
ああ、これは私だ。
8年も前なのに、涙が止まらない。
彼女が叫ぶように言う。
『物理的に無理』
そうなのだ、命がけの出産と子育てで仕事なんてできるんだろうか。いや物理的に無理だ。
眠ることはおろか、トイレにすら思うように行けない日々が続く。
本当に運が良い人だけ、よく眠りよく食べる子供を授かることができる。
素晴らしい医療技術のおかげで、日本では赤ちゃんも妊婦さんも亡くなることが本当に少なくなった。
なので、みんな「安全に」出産と子育てができると錯覚している。誰でもやっている我慢すればできることだと。
そんなはずないのだ。みんな生む前も生んだ後もズタボロだ。